はしか…実は多くの医師が診察未経験 特効薬もないんです

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
 日々、多くの患者と接する医師も「はしか」を診察することは少ないという
 日々、多くの患者と接する医師も「はしか」を診察することは少ないという

 治療は、基本的に症状に対してのみの治療になります。特効薬がないのです。食事を食べられなければ点滴をしたり、高熱が出れば解熱剤の投与をしたりします。ビタミンAの大量投与が重症化を防ぐとの報告もあります。熱が完全に下がれば、3日目に登校、社会復帰が可能です。

 「予防する方法はないのか」という質問が飛んできそうですが、基本的にはワクチン接種が一番の予防です。今回のように集団発生が危惧される場合には、明らかな麻疹患者との濃厚接触、麻疹ウィルスの暴露があった際に72時間以内であれば、ワクチンの摂取が推奨されています。ワクチン接種が出来ない免疫不全患者は、6日以内であればガンマグロブリンの投与が推奨されています。

 不安のある方は、医療機関で麻疹抗体を測定して、基準値を満たしていなければ接種することをお勧めします。20~30代でワクチンを1回しか接種していない世代、ワクチンを接種していない人たちは感染のリスクが高まります。ただし、上記の治療はすべて保険がききませんし、現在、麻疹ワクチンは全国的に入手困難な状況です。

 一番大切なことは、推奨されたワクチンを取りこぼすことなく接種することです。今回は麻疹で大騒ぎになっていますが、それ以外にも重症化する病気はたくさんあります。日頃の心構えなどが大事であると痛感している次第です。

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