インフルエンザの新薬ゾフルーザ “現場”ではどうなのか…

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
塩野義製薬が発売したインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」(提供・共同通信社)
塩野義製薬が発売したインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」(提供・共同通信社)

 インフルエンザが猛威をふるっています。現場で診察をしていても、本当に猛烈な勢いで拡散している印象です。記事を読まれている多くの方が罹患されている、または、お知り合いが罹患したのではないでしょうか。

 しかし、昨年までと違うことが一つあります。新薬の出現です。これまでのインフルエンザの薬は内服はタミフルのみで、吸入はリレンザ、イナビルといった薬が使用されていました。中でも重宝されていたのが、イナビルだと思います。1回の吸入だけで治療が完遂するからです。ただ、欠点もあります。その吸入がうまく行えなかった場合、期待通りの治療効果が出ないことです。吸入後にせき込んだり、吸う力が弱いために、うまく吸えないなどの呼吸障害がある患者さんには使いにくい薬でした。そういった患者さんで、重症の患者さんにはラピアクタという点滴のお薬を使ったりします。

 今までのインフルエンザの薬は、増殖したウィルスが細胞から飛び出していこうとするのを防ぐ薬でした。簡単にいうと細胞にウィルスを閉じ込めてウィルスの増殖を抑えていました。今回の新薬である「ゾフルーザ」は、ウィルス細胞の増殖そのものを押さえ込む作用で治療に導く薬なのです。他の薬で効果に乏しい、いわゆる薬剤耐性インフルエンザウィルスに対しても治療の効果が期待されています。

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