阿部さんが東京に戻って営業を再開すると、知人や常連客だけでなく、「ツイッターを見て店を知った」という初来店客から「おめでとう」と祝福された。阿部さんは「すごい反響で驚いています。東京の人はやさしいですね」と感謝した。
この貼り紙について、阿部さんは「字を間違えてお恥ずかしいです。『妻がお産を無事終えた為』と書きましたが、その時はまだ生まれておらず、あわてて書いてしまいました。最後の文字には麺職人としての誠意を込めたつもりです。このうどんを広めるために東京に出て来て、初めて私用で休ませていただいた。それが本当に申し訳ないと思いまして」と心境を明かす。
「(麺の)切りたて」「ゆでたて」「(天ぷら)揚げたて」の「三たて」を掲げる同店。名物の「ごぼう天うどん」を食べた。天ぷらはサクサク、麺はゆで置きしていないため透き通っていた。阿部さんは「福岡のソウルフードです」と、この日も厨房でうどん作りに精を出していた。
ちなみに、新幹線の中で出産を聞いたという。「その瞬間には立ち会えなかったのですが、3810グラムの女の子でした」。この貼り紙ははがしたが、東京の家で大切に保管している。阿部さんは「娘が大きくなった時、生まれる時の思い出として親子で一緒に見ようかなと」。父親の顔でほほ笑んだ。