「本書の『解説』で北原尚彦さんが述べているように、明治・大正期の文学を理解するには、作品よりも人脈を調べることが必要だということが、本書を読むとよくわかります。押川春浪から始まって、国木田独歩、田山花袋、新渡戸稲造、永井荷風、夏目漱石ら、思いがけない人物との関係が明らかになってきます。また、天狗倶楽部の活動も大河ドラマ『いだてん』ではマラソンと野球が中心でしたが、生田斗真演じる三島弥彦が学生相撲の元祖として活躍する様なども本書では詳述されています。明治・大正期という時代の転換期に海外文化の影響を受けたバンカラなエリートたちが、文武両道で壮大な夢を体現した時代の勢いが伝わってきます。平成が終わりまた大きな時代の転換点を迎えつつある今こそ、改めて読む価値がある内容だと思います」