松江駅で販売される駅弁で、毎月売り上げ1位か2位に入るのが「島根牛みそ玉丼」だ。紅ズワイガニ水揚げ日本一の鳥取・境港にほど近く、この時季は山陰の冬の味覚を求める観光客らの影響で、「境港水揚げ紅ズワイガニかに寿し」(1200円)の猛追を受け、激しく頂点を争う。以前には豚肉バージョンの「島根豚みそ玉豚」もあった。しかし、冷めてもよりおいしく食べられるという駅弁の観点からすると、私は牛肉に軍配を上げる。一度食べてみる価値は十分にある駅弁だ。
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島根牛の牛肉と糸こんにゃくの味噌煮をご飯の上にたっぷりとのせた、すき焼き風の弁当。
こだわりの味噌は、奥出雲地方特有の米こうじをふんだんに使って仕込んだ天然醸造で、香りがよく味わいも深い。正直なところ、牛肉と糸こんにゃくがなくても、味噌煮の汁が染み込んだご飯だけでお腹一杯になるまで食べられるうまさだ。
真ん中にきれいに鎮座する半熟卵を、好きなタイミングでほぐすと、味に濃厚さが出て、違ったおいしさが口の中に広がり満足すること間違いなし。
酸味の効いた大根しそ漬けがさっぱりしていて、いい箸休めだ。
1100円。山陰本線・松江駅「一文字家」Tel0852・22・3755。