例年約50万人が集い、今年10月17日に38回目の開催を数えた大阪の一大イベント『なにわ淀川花火大会』のアナウンスが異例だと話題になりました。
「ゴミは持ち帰らず、その場に置いて――」
同イベント運営では、来場者に対し、そのように呼びかけていたというのです。
一般的な野外のイベントでは、ゴミはその場に放置せず、自分の手で持ち帰るというのが常識です。なのに、一体なぜ、同大会では真逆のアナウンスを行ったのでしょうか?同大会の運営委員会、広報委員長の大野育生さんにおうかがいしました。
「マナーの悪い花火大会」と言われないように――
「私が、(同運営に)関わりはじめた2008年の段階で、すでにこの“来場者にゴミをその場に置いて帰っていただく”という対応を行っていました。実際は第3回大会である1991年頃から行われていたようです」
大野さんによると、この取り組み自体は、ずいぶん前から行われていたとのこと。なぜこのような取り組みを実施するようになったのでしょう?
「この手の規模が大きいイベントは、終了すると来場者の皆さんが一斉に帰途に就くことになります。皆さんがゴミを持ち帰った場合、周辺の道路や住民の住居、コンビニ、駅などに、そのゴミが一斉に捨てられることになります」(大野さん)
一時はこのことが問題となり、なにわ淀川花火大会は“マナーの悪い花火大会”として、大きくメディアに取り上げられることになってしまいました。そこで、近隣から苦情が出るのを防ぐべく、「ゴミは持ち帰らない」という、まさに“逆転の発想”による対策をとるようになったといいます。
ボランティアの方々が清掃に参加
来場者が残していったゴミは、その後どうするのでしょうか? 花火大会が行われた翌日に清掃活動が行われ、ゴミは“事業ごみ”として廃棄されるとのことです。
「約1.5トンのゴミが入るパッカー車(ゴミ収集車)が、6時、8時、10時におおよそ15台くらい、回収して回ります。淀川の河川敷内だけでおおよそ60トン程度のゴミが回収されているのではないかと思います」(大野さん)
また、実際の清掃作業は、ボランティアの方々にお願いしているといいます。
「HPなどから『翌日清掃ボランティア』の参加を募っており、とりまとめは大阪青年会議所が行っています。地域の幼稚園や学校、CSR活動を行う企業、リトルリーグなど各種団体に志願していただいているほか、個人からの参加もあります」(大野さん)
ボランティアの参加者は毎年1000人程度になり、その6~7割が毎年参加されているとのこと。大阪市をホストエリアとして活動するラグビーチーム“レッドハリケーンズ大阪”の選手たちも、スタッフとして参加しているといいます。
有志のボランティアの方々の協力で、会場内は元通り綺麗な状態になっているのですね。
安心安全な花火大会になるよう、今後も改善を
また、このような取り組みを通じ、来場者にも変化がみられるといいます。
「最近は、その場にゴミを置いて帰る方ばかりでなく、会場内に点在する“ごみステーション”にゴミを捨ててくれる来場者の方も増え、ここ数年で会場の様子は明らかに奇麗になってきています」(大野さん)
16年前、2010年の開催直後の様子を写した会場の写真を見ると、散乱するゴミの量が今より多いのが分かります。
運営側の取り組みは、来場者のマナーに対する意識にもつながっているのですね。
しかし、それでも大会の開催を続けるにあたっては、課題があるといいます。
「(取り組みについて近隣の方々より)一定の理解をいただいてはいますが、まだまだご迷惑がかかっているという現状もあり、今後も改善をしていく必要があると認識しています」(大野さん)
今後も、近隣住民への迷惑行為、危険行為、ゴミの拡散をより防ぐ対応をしていきたい――。
大野さんは、そう決意を新たにするとともに、今後の“なにわ淀川花火大会”の開催を楽しみにされている方に向けても、「少しでも安心安全な花火大会として認知いただくよう、改善を重ねていきたいと考えていますので、応援よろしくお願いします!」と呼びかけています。
SNSでも話題になった取り組み。でも…
「ゴミをあえて会場に放置していただく」
という、なにわ淀川花火大会運営の斬新な取り組みは、X(旧Twitter)など、SNSでも注目を集めました。
実際に、現地の写真を紹介する投稿もあり、このような形で一般の方が取り組みを伝え、それが広まっていくのは、現代社会の良き特徴といえるでしょう。
しかし、大野さんによるとそれらの写真の中には「フェイクであり、実際の会場の様子ではない」ものもあるといいます。
ネット社会となり、色々な地域の画像を簡単に検索できるようになり、生成AIも一般化してきた昨今。
だからこそ、ネットの情報だけではなく、自ら現地に足を運び、実際の様子を生で見ることの価値が、改めて見直される時代になっているのかもしれません。
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「なにわ淀川花火大会」は、地元のボランティアスタッフが中心となって企画・運営・実行を手がける「手作りの花火大会」です(第17回までは「平成淀川花火大会」)。
平成元年となる1989年より、大阪活性化の「火付け役」として開催を続けています。
■「なにわ淀川花火大会」の公式ホームページはこちら
→https://www.yodohanabi.com/