地方から大学進学を機に上京し、東京で暮らして30年以上になるKさん(50代)。地元の友人から、東京について質問されることは少なくありません。
中でも返答に困るのが「子どもが東京の大学を受験する予定だけど、どの辺に住むのがおすすめ?」という質問です。夫の転勤で最近東京に引っ越してきた友人からも、「どの辺が便利?」と相談されたことがあります。
「新宿に出やすい駅なら」と答えかけて…
「新宿に出やすい駅なら…」と答えかけたKさんですが、そこでふと気づきました。
「ところで、学校はどこになるの?」
相談してきた友人の子どもは、これから大学受験を迎えるところ。まだ志望校が決まっていないため、当然ながら通学先も分かりません。
しかも東京は、同じ「東京」とはいっても、行く場所によって交通事情が大きく変わります。
新宿や渋谷方面に行く人と、上野や東京駅方面に通う人では、便利な路線が違います。23区内だけでなく、多摩地域まで含めれば、さらに選択肢は広がります。
「東京なら、どの駅に住んでも電車でいろいろなところに行けるから便利」
かつて地方に住んでいたKさん自身も、東京に来る前はそんなイメージを持っていたそうです。
「便利な駅」は人によってまったく違う
ところが、実際に暮らしてみると印象は大きく変わりました。
東京では、少し場所が変わるだけで、利用する路線もよく使う駅も変わります。
同じ都内への通勤でも、西側に住む人と東側に住む人では、普段の移動はまるで違います。乗り換えを何度もするくらいなら、目的地に直通する路線沿線に住んだ方が便利なこともあります。
そのため、「東京のどこが便利?」と聞かれると、Kさんは駅名を答える前に「学校や職場はどこに通うの?」と聞き返すようになりました。
すると、「まだ大学が決まっていなくて…」と言われることもあります。
そんなときは「それなら、今の段階では駅を決めるのは難しいね」と話すそうです。
東京に30年以上住んでいるKさんにとって、「東京で便利な駅は?」という質問への答えは、「どこへ行くことが多いかによる」。
地方に住んでいた頃は「東京なら、どこに住んでも便利」と思っていたKさんですが、実際に暮らしてみて分かったのは、東京は思っていた以上に広いということでした。