学校生活を送っていると、周囲のクラスメイトと話がかみ合わないことで悩む人は少なくないでしょう。イラストレーターのオキエイコさんも、学生時代にそんな悩みを抱えていた1人です。彼女の作品『社会人になって、学生とは違う自由を得られた話。』では、自身が学校生活で抱えていた悩みが描かれています。X(旧Twitter)に投稿されると、9000いいねを超える反響がありました。
学生時代に存在感がないことを悩む人が多いなか、中学校時代の作者は「どうしたら存在感をなくせるか」と悩んでいました。その理由は、作者は普通に行動したつもりが、なぜかクラスメイトから「面白い行動をした」と思われ、笑われてしまうことが多かったからです。
クラスメイトが面白く思ってくれることに喜びを感じていたこともあったけれど、思春期だった作者は、これに傷つき落ち込むことも多かったようです。ところが高校進学を期に、この状況は一変します。作者が選択した美術科では、個性的な子が多く、悪目立ちすることもなく自分を抑えず楽しめるようになりました。ただ、ここでも悩みがまったくなくなったわけではありません。大学への進学を考えたとき、自分の学力以外にも「家族の経済力」「住んでいる場所」などを理由に、自由に進路を選ぶことができず、ままならない思いを抱えていました。
しかしこの悩みも、社会人になることで解消されます。社会人になると自分に決定権があり、本当にやりたいことができると気づいた作者は「社会人って、最高じゃねーか!!」と確信しました。
さらに、自分の長所を努力次第で増やすことができるため、たとえばカードゲームで自分の手札を最初に配られたままで勝負するのではなく、自由に増やして戦えるような喜びを感じるのでした。
読者からは「私も社会人になったら週2日は完全フリー、夜の時間は全て自由という生活になってすごく嬉しかったです。」「私も浮いてしまうタイプだったから。わかる。わかるよー。」など、多くの共感の声があがっています。そんな同作について、作者のオキエイコさんに話を聞きました。
「浮いていた」自分が、場所を変えて見つけた強み
-この経験を漫画にしたきっかけは何でしょうか?
自分の子どもを見ているうちに、周りから浮くのがつらかった学生時代を思い出しました。大人になった今、あの頃の生きづらさが、いつの間にか「自分らしさ」に変わっていたと気づいたんです。それを形にしたいと思いました。
-中学時代は、どんな気持ちで過ごしていたのでしょうか?
いろんな意味で「空気の読めない人」でした。具体的な出来事は不思議と思い出せないのですが、「自分の何が人と違うのかわからないから、直しようがない。でも周りにバレるのが怖い」と、いつもビクビクしていました。
-高校では、どんな変化がありましたか?
文化祭などでは思いっきり羽目を外して、怒られて、笑って。小学生みたいな高校時代でした。クラスの人気者が「中学までは、ちょっと変な人枠だった」と話していたのも印象的です。「自分はどうしようもない」と思っていても、場所が変われば輝ける。自分という存在をつくるものは何だろう、と考えるようになりました。
-社会人になって気づいた強みは何でしょうか?
私には、これといって戦えるほどの専門知識はありませんでした。でも、ぬるく多趣味だったおかげで、いろいろなことを浅く広く知っていて、それがいくつも重なるうちに、自分の分野のようなものができていきました。
働き始めは、やっぱりダメダメでしたね。でも、絵や漫画、Webのように「自分から何かを生み出す力や意欲」は、意外と特殊なカードなんだと気づきました。得意なことのおかげで、職場では「この仕事といえばこの人」という立ち位置も築けました(笑)。
-同じように悩む学生へ、伝えたいことは何でしょうか?
実家は経済的に苦しく、田舎だったので、進路は自分の希望だけでは決められませんでした。友人が羨ましくて、親に辛く当たったこともあります。でも人生は長いです。今は38歳で、3人の子どもを育てながら働き、大学に通っています。子どもの進路のためにお金を残したくて国立大学を選び、受験勉強をしました。孤独でしたが、制限があったからこそ乗り越えられたとも思います。人生は一本道ではありません。つらい時期が強みに変わることもある。私も今は忙しくて漫画を描けないのがつらいですが、自分にしか描けないエッセイを大切にしたいです。楽しんでいる大人には「大人って楽しい!」と声に出してほしいですね。それが若い人の希望になるかもしれません。
<オキエイコさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/oki_soroe