9:1とされる右利きと左利きの人口比(日本左利き協会のサイトから)。「右利き用に作られた世界」で暮らす左利きの人にとって、不便に感じることは多いでしょう。えりたさんが投稿した漫画『左利きの息子と私のモヤモヤ』は、自身の左利きとしての半生を振り返りながら、子どもの成長を温かく見守るまでの葛藤と気づきを描いています。
作者には来月で4歳となる左利きの息子がいます。息子が自分と同じ左利きであることに喜びを感じる一方、世の中の多くの道具が「右利き用」に作られている現実に、作者はふと不安を覚えるのでした。
たとえば自動改札機や習字道具など、日常生活のいたるところにある「右利きの壁」が立ちはだかります。将来、息子が不便を感じないよう、「今のうちに右利き用を練習させたほうがいいのではないか?」と悩む日々を送っていました。
そして悩みの中、作者の脳裏には自身が子どもの頃に直面した「左利きであるがゆえの葛藤」が蘇ります。それは「右手で鉛筆を持ちなさい」という先生からの指導、友達の親から聞こえてきた左利きへの否定的な言葉、そこに加えて左利きに猛反対した祖母の存在です。
これらの記憶から、作者自身は左利きが不遇の扱いを受けることへの不満を消化できずにいました。そのため、中学時代には弁論大会で「なぜ少数派が多数派に合わせなくてはならないのか!」と熱く語ったことがあります。
そんな葛藤を経て大人になった作者は、現在では仕事で左利きの話が仲を深めるきっかけになったり、デジタル化によって道具の左右差が気にならなくなったりという経験をします。そして何より、不便な環境をどう乗り越えるか工夫してきた日々こそが、今の自分を支える「自分で考える力」を育てていたのだと気づいたのでした。
左利きへの悩みとその解決を描いた同作について、作者のえりたさんに詳しく話を聞きました。
「これも1つの個性」大学生で感じた多様な価値観
ー先生や周囲の大人から右利きに直すよう言われたとき、どのような気持ちでしたか?
左利きに直すように言われたのは小学1年のときの担任の先生でした。当時、周囲には左利きの子がいなかったこともあり「自分は悪いことをしているのかな」と感じましたし、窮屈で複雑な気持ちでした。
とはいえ、右手ではうまく書けなかったので、こっそり左手で書いていました(笑)
ー弁論大会で左利きのことについて語ろうと思ったのはどうしてだったのでしょうか?
小学生時代から長らく感じていた違和感や疑問を言語化してみたいと思ったのがきっかけです。それまで抱えていたモヤモヤを人に伝えることで、少し気持ちが軽くなりました。
ー左利きであることはどんなタイミングで気にならなくなったのでしょうか?
気にならなくなったのは、大学生になった頃です。パソコンの利用が増えたことが大きかったと思います。また、大学生になると様々な個性の方に触れる機会も多く、「左利きも1つの個性だな」と受け止められるようになりました。
ー息子さんは左利きのことを気にしていたり、えりたさんがそのことについて話をしたりしますか?
今のところ、本人はまったく気にしていません。お箸の練習も左利きの私が教えているので、自然に受け止めているように感じます。もし今後、本人が悩む場面があれば、そのとき一緒に考えていけたらいいなと思っています。
<えりたさん関連情報>
▽Instagram
https://www.instagram.com/erita_enikki
▽電子書籍「実録・息子の保育園生活① ~入園直後の涙と笑いと行き渋りと~ えりたの育児エッセイマンガ」(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0GF9Q4LQS