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街で見かけた盲導犬「絶対に触らないで!」 撫でられたことで方向感覚を失うことも…全盲シンガー「迷っていなければ見守って」【投稿者に取材】

長澤 芳子 長澤 芳子

盲導犬とともに街を歩く人を見かけることはあるでしょう。たとえば信号待ちなどで立ち止まっているときに、盲導犬を撫でようとする人は少なくありません。しかし、この行動には注意が必要です。

盲導犬に触れたり声をかけたりしないで――。盲導犬ユーザーが困っていることを伝えるX(旧Twitter)上の投稿を受け、注意を呼びかけたのが、全盲のシンガーソングライター・マエケン(前田憲志)さんです。

自身は盲導犬ユーザーではなく、投稿内容も当事者から直接聞いた体験ではありません。それでも発信した背景には、視覚障害者への理解を広げたいという思いがあったようです。そんなマエケンさんに、ご自身が経験した「善意が危険になる瞬間」や安全な手助け、音楽活動について聞きました。

「迷っていなければ見守って」安全な手助けとは

―Xで盲導犬への注意を呼びかけた理由を教えてください。

発端は知人から、盲導犬ユーザーが、駅で盲導犬を周囲の人に撫でられて、方向感覚を失ったという話を聞いたことですね。盲導犬ユーザーでも白杖ユーザーに対してでも、周囲の理解が広がれば視覚障害者は暮らしやすくなります。それらのことを世間に知ってほしいという思いで発信しました。白杖を持つ人が全盲とは限らず、スマートフォンを見られる弱視の人もいます。私も目が見えていた時期、周囲から疑われるのが怖くて白杖をしまい、駅のホームから転落したこともあるんです。周囲の方々には、このような現状を理解してほしかったんです。

―突然の声かけが危険になるのはなぜでしょうか。

1人で歩く時は、駅から自宅までの歩数や電柱の位置を数え、集中しています。途中で話しかけられると歩数を忘れ、相手が立ち去った後、現在地が分からなくなることがあるのです。その場合は、分かる場所まで戻って数え直します。悪気のない声かけでも、歩行を中断させる可能性があります。

―周囲の人々は、どのように手助けすればよいでしょうか?

同じ場所を行き来する、白杖で壁や電柱を探る、声を出して助けを求めるなど、迷っている様子があれば声をかけてください。迷っていなければ、まず見守ってほしいんです。案内する際は体や白杖を引っ張らず、肩や腕を貸していただければ幸いです。視覚障害者自身が相手につかまり、主体となって歩けるため安全となります。また、視覚障害者が両手を上げるという「白杖SOS」のサインは、少なくとも私の周囲ではほとんど使われていません。そのようなサインを待つだけでなく、様子を見ることが大切だと思います。

―音楽を始めた経緯と活動上の苦労は、何でしょうか。

もともと絵やデザインが好きでしたが、徐々に目が見えずらく描けなくなり、「紙に描けないなら音に描こう」と作曲を始めたんです。そして、27歳で網膜色素変性症と診断され、その後、全盲になりました。ステージでは自分が正面を向いているか分からないため、背もたれのある椅子が目印になります。誘導で手を引っ張られたり、善意とは言え、白杖を預かられたりすることは怖いですね。白杖は車のハンドルのような存在なんです。

―音楽を通して伝えたいことをお聞かせください。

全国の視覚障害ミュージシャンに声をかけ、「チャリティー音楽祭スーパーライブ」を始めました。見えないからこそ、お客さんとの距離を音で縮めるような熱のある演奏が生まれます。視覚障害があっても、これだけのことができる。その音楽に触れ、生きにくさを抱える人が明日を生きる力を持ち帰ってくれたら、嬉しいです!

♦マエケン(前田憲志 まえだ・けんじ) 全盲のシンガーソングライター
一般社団法人視覚情報サポートラジオ代表。「チャリティー音楽祭スーパーライブ」を主催し、音楽を通じて視覚障害への理解と共生社会の実現を目指す。
▽X(旧Twitter)
https://x.com/MAEKEN_AIRFOLG
▽公式HP
http://airfolg.jp/
▽スーパーライブ公式サイト
http://airfolg.jp/superlive/index.htm

●第7回チャリティー音楽祭スーパーライブ2026〜見えない力で、生きる力を届けたい〜
「共生社会の実現をテーマに掲げ、全国の全盲ミュージシャンらが作り出す感動のステージ!」
日時:2026年10月12日(祝・月)11時開場 11時30分開演 18時30分終演(予定)
会場:千葉市民会館大ホール
アクセス:JR千葉駅より徒歩7分。京成千葉駅より徒歩10分

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