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「このままでは体がもたない」義父母をワンオペ介護する40代専業主婦 体調を崩しても協力しない夫に絶望【介護支援専門員が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

40代専業主婦のAさんは、要介護状態の義母と物忘れが目立つようになった義父を、3年ほど自宅で介護しています。夫は仕事で家を空けることが多く、日中の世話は自然とAさんが担う形になっていました。

ある朝Aさんは、慢性的な寝不足と体調不良から立ちくらみを起こし、しばらく動けなくなってしまいます。これに危機感を抱き、夫に相談してみましたが、あまり深刻に受け止めてもらえません。

そのためせっかく相談したのに、体調が悪くても家事や介護はおこなわなければならず、負担は一向に軽くなりません。「このままでは自分の体がもたない」と何度訴えても、家庭内の空気は変わらないまま。この状況にAさんは、自分でも思いがけないほど投げやりな気持ちが込み上げるのでした。

このような状態でAさんは、どこに助けを求め、どう負担を減らしていけばよいのでしょうか。介護支援専門員の松田浩昭さんに話を聞きました。 

介護は1人で抱え込まないことが大切

―家族の協力が得られず介護者1人が抱え込んでしまうケースは、実際どれくらい多いのでしょうか?

決して珍しくありません。むしろ現場では多いご相談のひとつです。介護には「同居する家族の中の誰か1人」に自然と集中しやすい構造があります。ご本人が特定の人にしか頼まない、他の家族が「自分は苦手だから」と距離を置く、日中家にいる人が結果的に全部担う——こうした事情が重なると、偏りは一気に加速します。

なかでも、嫁・妻・娘といった立場の方に負担が集まりやすい傾向は、今も根強く残っています。しかもご本人が「これくらいは当たり前」と思い込み、限界が来るまで声を上げないことが多い。訪問先で「気づいたら自分だけが抱えていました」と話される方は本当に多く、Aさんの状況は決して例外ではありません。

―介護保険サービス(ショートステイやデイサービスなど)を使って、家族の負担を減らす具体的な方法を教えてください。

柱になるのはデイサービスとショートステイの組み合わせです。デイサービスは日帰りで食事・入浴・機能訓練などを受けられ、日中の見守りと家事の負担が大きく減ります。ショートステイは施設に数日単位で宿泊でき、介護者がまとまった休養を取る、自分の通院に行く、外出して気分転換を図るといった時間を確保できます。

ここでぜひ知っておいてほしいのが、「介護者の休養(レスパイト)」そのものが立派な利用理由だということです。「申し訳ないから」と遠慮する必要はありません。要介護度ごとの支給限度額の範囲内であれば、回数や曜日は状況に応じて柔軟に組み替えられます。担当のケアマネジャーには「今、何が一番きついのか」を具体的に伝えてください。

―同居家族が家事や介護に非協力的な場合、第三者としてケアマネジャーはどこまで介入できますか?

家族に「協力してください」と強制する権限はケアマネジャーにはありません。できるのは介護保険サービスの調整と情報提供が基本です。ただ、実際にやれることは決して少なくありません。

たとえばサービス担当者会議に家族の方々に集まっていただき、第三者が同席する場で現状を共有する。そのうえで家族それぞれの状況を確認しつつ役割分担を一緒に考え、ケアプランに「誰が何を担うか」を形として残す。

これだけで、家族同士では言い出せなかった本音が出て、役割分担が動き出すことがあります。介護者が倒れれば、在宅生活そのものが続きません。どうか遠慮なく状況を共有してください。

―介護者自身が心身の限界を感じたとき、どのような相談窓口がありますか?

まず頼っていただきたいのが「地域包括支援センター」です。おおむね中学校区ごとに設置された総合相談窓口で、要介護認定の有無にかかわらず、介護者自身の悩みも無料で相談できます。すでに担当ケアマネジャーがいる方は、その人に伝えるのが一番早い道です。

ほかに自治体の「介護者支援窓口」や、同じ立場の介護者同士が経験を共有する「家族会」もあります。不眠や食欲不振が続くなら、かかりつけ医や心療内科への相談も選択肢のひとつです。

「頑張り続けること」だけが正解ではありません。投げやりな気持ちが湧いてきたのは、心が助けを求めているサインです。その時点でもう十分、相談していい段階なのだとお伝えしたいです。

◆松田浩昭(まつだ・ひろあき) 介護支援専門員・理学療法士
介護事業の経営者として13年、これまでに8つの事業を立ち上げる。現在はリハビリ特化型デイサービス、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所を運営。理学療法士としての視点と、ケアマネジャーとしての視点の両面から、在宅で暮らし続けるための支援に取り組んでいる。

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