夜間に自転車に乗る際、ライトが電池切れや故障で点かないといった場合、スマホのライト(LED懐中電灯機能)をハンドルにくくり付けたり、手に持ったりして走行すると、交通違反になるのでしょうか。
「明かりがついているから問題ないだろう」と安易に考えてしまいがちなこの問題について、まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。
法定性能を満たさないと無灯火扱い
――スマホのライトを自転車の照明代わりに使うのは問題ですか?
スマホのライトを前照灯の代わりに使って夜間に走行する行為は、道路交通法上の「無灯火違反(無灯火走行)」にあたり、違法となる可能性が高いといえます。
各都道府県の公安委員会規則では、自転車のライト(前照灯)に明るさや照射距離、光度などの具体的な性能基準を定めています。スマホの懐中電灯機能では、これらの法定基準を満たさない場合が多く、点灯させていても法的には無灯火として扱われてしまいます。
――法令が定める「自転車のライト(前照灯)」の基準とは何ですか?
都道府県の道路交通施行細則などにより、夜間に前方10メートルの距離にある障害物を確認できる光度があることや、白色または淡黄色であることなどが定められています。
また、光の向きが前方固定であることも求められます。スマホのLEDライトは広範囲をぼんやり照らす仕様が多く、遠くの障害物をはっきりと確認できる明るさに達しないことが一般的です。そのため、前照灯の性能基準を満たさないと判断されます。
――手で持ってライトを照らす行為は「ながら運転」になりますか?
スマホを手で持ちながら自転車を運転する行為は、ライト機能の利用であっても「携帯電話使用等(ながら運転)」の違反に問われます。また、片手運転自体も安全運転義務違反や乗車積載方法違反にあたる可能性があります。
スマホを固定具でハンドルに取り付けた場合であっても、画面を見たり操作したりしていれば同様の違反となります。前照灯としての性能不足に加え、手持ち走行は重いペナルティの対象となります。
――ライトが故障している際に警察から指摘された場合、どのように対処すべきですか?
ライトが点かない状態で警告や指示を受けた場合は、その場ですぐに自転車から降り、押し歩いて目的地や近くの店舗へ向かうのが正しく適切な対処です。押して歩いている状態であれば歩行者として扱われるため、無灯火違反には問われません。
「スマホをつけているから大丈夫」などと無理に言い逃れをしたり押し問答を続けたりすると、指導警告にとどまらず、交通違反チケットの交付や処罰の対象となる恐れがあります。
◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。