冷却水は車にとって必要不可欠な油脂類のひとつです。最近の新車に充填されている冷却水は長寿命化され、交換する機会が少なくなっていることもあり、詳しいことが分からない人も多いはずです。
本記事では、冷却水の交換時期やその役割、交換しないとどうなるかなどについて現役の整備士が解説します。
冷却水(クーラント液)とは?
冷却水は「(ロングライフ)クーラント」「LLC」「ラジエーター液」「不凍液」といったように、さまざまな呼び方があり、プロの整備士の間でも普段使う名称がそれぞれ異なることもあります。厳密には本来、使い分けるべき呼び方もありますが、同一のものという認識で構いません。
冷却水はエンジンやEV用バッテリーを冷やすという大切な役割があります。これ以外にもヒーターにも使われています。
水ではなく冷却水が使われる理由は、水だと100℃を超えるような高温時に沸騰して気泡が発生し、エア噛みを起こしたり、長期間使用すると冷却システム内に錆や腐食が発生するためです。さらに氷点下以下になったときに、冷却水が循環できるように凍結しないことも重要です。そのため、冷却水には防錆効果や消泡効果、防蝕性、不凍性のある成分が添加されています。
▽エンジンやEV/HV用バッテリーを冷やすことが主な役割
冷却水には主にエンジンを冷やす役割があります。
ハイブリッド車や電気自動車の場合、バッテリーやモーターなどを冷やす役割もあります。ほかにも例えば、オートマフルードを冷やすためのオイルクーラーや、ターボ車の吸入空気を冷やすためのインタークーラーに冷却水を使用した水冷式が使われることもあります。冷却水はどんな車にとっても必要不可欠なものです。
▽ヒーター(暖房)にも冷却水が使われている
車のヒーター(暖房)は温かくなった冷却水を室内にあるヒーターコアと呼ばれる部品に取り込み、そのヒーターコアに風を当てることで温風が出る仕組みになっています。
冷却水(クーラント液)を交換、補充しないとどうなる?
冷却水には、車の冷却水としての性能を維持するための成分が添加されています。冷却水を交換しないまま使い続けると、以下のような問題が発生する可能性があります。
・オーバーヒートを引き起こしやすくなる
・冷却水経路内に錆や腐食が発生しやすくなる
・氷点下で冷却水が凍結しやすくなる
いずれも車を安心安全に使い続けるためにはスルーできない問題で、最悪の場合にはエンジンにダメージを与えるようなトラブルの原因にもなりかねません。
通常の使用過程であれば、冷却水を交換したところでドライバーにとって体感できるような違いはありませんが、冷却水は適切なタイミングで交換することが大切です。
また、冷却水を補充する目的はあくまで適切な容量を保つためであり、補充だけでは劣化を防ぐことはできません。(一部の冷却水用添加剤を除く)