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「またか…」酷暑の朝、段ボール箱の中に4匹の子猫 餌や1000円札とともに「捨てるしかないと思う前に、相談して」保護団体の悲痛な声

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「誰かが『これで何とかなる』と思ったのでしょうか」

そんな言葉とともにInstagramへ投稿されたのは、段ボール箱の中で身を寄せ合う4匹の子猫の姿です。箱にはカリカリのフードが入ったお茶碗。そして、近くにある猫シェルターの入り口には、なぜか1000円札が挟まれていたといいます。

投稿したのは、三重県伊賀市で保護猫活動を行う「伊賀の猫好きおばさんSAI」さん(@sai_story07)。投稿には「かわいい子たち、保護ありがとうございます」「この様な酷暑でよく命が助かった…」「命が繋がって本当に良かった」「これから素敵なお家に行けます様に」など、安堵や感謝の声が寄せられています。

いったい、4匹はどのような状況で見つかったのでしょうか。「伊賀の猫好きおばさんSAI」さんに詳しい話を聞きました。

ふたが開いた段ボール、中から「シャー」と威嚇する4匹

4匹が発見されたのは、8月1日の朝8時頃でした。

「私たちが活動している猫シェルターの前にある、近くの喫茶店の前に段ボール箱が置かれているのを見つけました」

喫茶店の店主によると、朝7時頃に店へ来た時には、すでに箱が置かれていたそうです。

発見した時、段ボール箱のふたは開いた状態。中をのぞくと、4匹の子猫がこちらを見ながら「シャー」と必死に威嚇していました。

ふたが開いている以上、いつ飛び出してもおかしくありません。そこで、持っていたタオルで箱を包んで安全を確保し、シェルター内のメンバーにも大声で知らせたといいます。

周囲には、すでに箱から逃げた子猫がいる可能性もありました。念入りに探しましたが、幸い、ほかの子猫は見つかりませんでした。

「発見した時はとても驚きましたが、それ以上に『ふたが開いているのに、4匹ともよく逃げずにいてくれたな』という気持ちでした」

箱の中には、カリカリのフードが入ったお茶碗が置かれていました。さらに、シェルターの入り口の戸には1000円札が挟まれていたそうです。ただし、1000円札が子猫を置いていった人物によるものなのか、別の人が置いたものなのかは分かっていません。

体重は700グラム前後 8月1日「水の日」にちなんだ名前に

保護された子猫たちの体重は、それぞれ700グラム前後。まだ母猫のお乳をもらっていた時期だったとみられています。体にはたくさんのノミがついていました。

幸い発見されたのが早朝だったため、暑さによる大きな影響はありませんでした。しかし、真夏の段ボール箱の中です。発見がもっと遅れていれば、体調を崩したり、命に関わったりする危険もあったといいます。

保護直後こそ、驚いた目で「シャー」と威嚇していた4匹ですが、安全な場所で落ち着くと、すぐに穏やかになっていきました。

ところが、ここでちょっとした問題が…4匹はあまりにもそっくりで、保護したメンバーたちにも見分けがつかなかったのです。そこで、色の違うゴムをつけて区別することにしました。

そして、保護された8月1日が「水の日」であることから、4匹には水にちなんだ名前がつけられました。「ソルティ」「ライム」「ポカリ」「アクア」です。

その後、4匹は兄弟2匹ずつでそれぞれトライアルへ。8月12日現在、全員が元気に成長し、新しい家族との暮らしを始めています。

「段ボールの中で不安そうにしていた4匹が、今はそれぞれ新しい家族との生活を始めていることを、とてもうれしく思っています」

正式に家族として迎えられることを願いながら、成長を見守っているそうです。

「またか…」過去にもシェルター近くへ子猫が置き去りに

しかし、今回の出来事は初めてではありませんでした。

「これまでにも、猫シェルターの近辺で、段ボール箱に子猫を入れて置いていかれたことが2度ありました」

いずれも同じように、段ボール箱に子猫とご飯だけを入れて置いていくというものだったといいます。だからこそ今回、4匹を見つけた時、無事だったことへの安堵と同時に「またか……」という思いが込み上げました。

さらに今年に入ってから、「猫が産まれたら川に捨てていた」という話を耳にしたこともあったそうです。

「今でも、望まない出産をした猫や、生まれた子猫をどうしたらいいのか分からず、命を捨てるという選択をしてしまう現実があることに、とても悲しい気持ちになります」

これまでの活動では、別の場所で段ボールに入れられて遺棄され、助けることができずに命を落とした子もいました。

「もちろん、猫を捨てることに対しては怒りがあります。でも、それ以上に『なぜ、捨てる前に誰かに相談してくれなかったんだろう』という悲しさがあります」

今回の4匹について、もしかすると、700グラム前後まで母猫のお乳を飲んで成長したことで、「保護団体に預けても大丈夫」と考えた可能性もあるのではないか、と話します。

だからこそ、もう一歩考えてほしいことがあります。それが、母猫の避妊手術です。

「そうしなければ、また同じように子猫が生まれ、同じことが繰り返されてしまうからです」

「捨てるしかないと思う前に、どうか誰かに相談して」

「猫を飼い続けることが難しくなった場合や、望まない出産で子猫が生まれて困っている場合でも、絶対に捨てるという選択をしないでほしいと思っています」

「伊賀の猫好きおばさんSAI」さんが強く訴えるのは、困った時点で相談することです。保健所や自治体、地域の保護団体など、相談できる場所があります。「こんなことを相談してもいいのかな」とためらわず、まず助けを求めてほしいと呼びかけています。

同時に力を入れているのが「TNR」です。TNRとは、地域で暮らす猫を捕獲し、不妊・去勢手術を行ったうえで元の場所へ戻す活動です。

生まれた子猫を保護することはもちろん大切です。しかし、望まない繁殖そのものを防ぐことができれば、遺棄される子猫や、過酷な環境で生きなければならない猫を減らすことにつながります。

今後は行政とも連携しながら、TNRについて地域の人たちに知ってもらう活動にも取り組んでいきたいといいます。

目の前にいる猫を「助ける活動」と、これ以上不幸な猫を「増やさない活動」。その両方が必要です。段ボール箱の中で身を寄せ合っていたソルティちゃん、ライムちゃん、ポカリちゃん、アクアちゃん。4匹は今、それぞれ新しい家族のもとで幸せへの一歩を踏み出しています。

「『捨てるしかない』と思う前に、どうか誰かに相談してください」

4匹の命がつながった今回の出来事。その言葉は、同じことを二度と繰り返さないための切実な願いでもあります。

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