7月、与党の整備委員会は北陸新幹線の大阪延伸をめぐり、福井県小浜市を経由し、JR桂川駅周辺に地下駅を設置する「小浜・桂川ルート」に決めました。この決定により、北陸新幹線は京都駅に寄らないことになります。「小浜・桂川ルート」に対し、「京都駅に寄らないから不便だ」という趣旨の投稿をSNSで見かけます。本当に「小浜・桂川ルート」(桂川案)は不便なのか、考えてみました。
京都駅から5分のところにある桂川駅
桂川駅は京都市南区にあるJR京都線(東海道本線)の駅です。普通と快速は止まりますが、新快速は通過します。京都駅からの営業キロは5.3キロで、京都~桂川間の所要時間は5分です。桂川駅から10分ほど歩くと、阪急京都線の洛西口駅があります。洛西口駅には普通と準急は停車しますが、特急は通過します。現状の桂川駅は京都駅のようなターミナル駅ではなく、純然たる中間駅です。
京都駅からどこへ観光客は向かうのか
ここで視点を変えて、京都駅からの観光客の行先を探りたいと思います。参考にするデータは2023年11月にレイ・フロンティア株式会社が発表した「人流がデータが紐解く京都観光 レイ・フロンティアによるAI動向調査」です。
この調査は2023年11月3日~5日の3連休の間における位置情報を分析したものです。また、調査元のデータはレイ・フロンティアのサービスで収集したものであり、調査対象エリアは京都(京都盆地周辺)としています。ここでの「観光客」の定義は、「京都府外に自宅があると推定されるユーザー」です。
この中で京都駅からの観光客の行動パターンを見ると、京都駅から観光客が各観光地をめぐり、そこを起点に徒歩移動していることがわかります。特に清水寺からの四条通、醍醐寺、下鴨神社、嵐山などが目立ちます。
次に2021年度の京都市バス旅客流動調査を確認します。平日調査は同年11月25日~12月9日の間で行われました。平日利用者のうち、観光目的・修学旅行は9.9%を占めています。
停留所別乗降客数第1位は京都駅前の約41,000人で、2位・四条河原町の約1.6倍です。停留所間別旅客数の第1位は四条河原町→京都駅前、第2位は京都駅前→四条河原町。京都駅前から清水寺に近い五条坂までは5位でした。
これらのデータから、京都駅からの観光客は清水寺、四条河原町への流れは大きいことが予想できます。
鍵を握るは阪急洛西口駅?
桂川駅の利便性を考える上で外せない存在が、阪急洛西口駅です。洛西口駅から四条河原町に位置する京都河原町駅までは12分です。京都河原町駅から清水寺へは徒歩約30分ですが、間に八坂神社を挟むため、効率のよい観光ルートです。
一方、京都駅(地下鉄)から京都河原町へは、四条駅で京都市営地下鉄烏丸線から阪急京都線への乗り換えが必要で、所要時間10分強を要します。市バスですと、京都駅前~四条河原町間は約15分ですが、渋滞に巻き込まれると、所要時間はさらに延びます。
このように見ると、桂川案でも、少なくとも四条河原町や清水寺へのアクセスは不便ではありません。また、嵐山へも阪急桂駅から嵐山線に乗り換えることでアクセスできます。京都駅に北陸新幹線を乗り入れると、現状でも大混雑しているJR嵯峨野線(山陰本線)の京都口の混雑がさらに増すことでしょう。
ただし、JR桂川駅から阪急洛西口駅へのアクセスは便利とは言い難いのが現状です。徒歩10分とはいえ、炎天下の中を歩くのは、なかなかきついものがあります。北陸新幹線桂川新駅の設置にあたっては、洛西口駅との連絡も重要になります。