元セクシー女優だった人が引退後はどのように過ごすのかは、その人の実績によってさまざまです。引退した元セクシー女優の全員が、その後はタレントとして働くわけではありません。なかには一般企業で働く人も多く存在しています。
そんな一般企業に流れ込む元セクシー女優に対して、多くの人が「元セクシー女優が一般企業で働くことはできるのか?」と考えるでしょう。そこで、元セクシー女優で引退後は一般企業で働いた筆者が、一般企業で働く際にどんな点で苦労したのか振り返ります。
正直なところ“シャバ”に戻ってからの生活は苦労の連続で、自分がいかに世間とズレているかを痛いくらいに思い知らされたのです。
自分の意見がないのか、言えないのか……宇宙人のような状態に
筆者が働き始めて最初に困ったことは、自己主張が必要不可欠だったことです。筆者はフルタイムのアルバイトでしたが、社内で制作するゲームのシナリオ担当(たった1人)だったため、周りから意見を求められる機会が度々ありました。シナリオ周りの決め事は筆者の考えがないと始まらず、絶対に“何か”を発さなければならないのに、働きはじめのころはハッキリした意見を持っていなかったのです。
セクシー女優業は基本的に現場で優先される立場ですから、筆者が困っていると誰かが絶対に助けてくれて、考えを細部まで汲み取ってくれます。このセクシー業界での過度な“姫扱い”に甘え切っていた筆者は、当時はただの情けないオトナと化していました。
きっと社内の人々は私を「ヤバ、宇宙人が来たぞ」と思っていたはず(笑)。今思い返すとたくさんの迷惑をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいです。
基本のキがわからない!いちいちパソコンに感動する日々
また、働き始めた当初はパソコンの操作も絶望的でした。ローマ字タイピング程度とGoogleドキュメントがなんとか使えるレベルです。我ながら「よくこんな状態でゲーム会社に入れたな」と思います。
きっと大学や専門学校を卒業していたり、同業他社での経験を持っていれば「こんなのフツー」といわれるような仕事のあれこれが筆者にはすべて新鮮に映っていました。そのため、常に「パソコンすごい!」という子どものような感想を抱きながら仕事をしており、いかに社会経験がないかを思い知らされたのです。
ポジティブに考えるのであれば、よくわかっていないので素直に聞き入れることができた点は良かったかと思います。ただ良いところはそのくらいで、周りの仕事仲間からは“シナリオ以外は全く使えないヤツ”と思われていたことでしょう。
どう接したらいい?距離感バグを起こしそうな恐怖
セクシー女優をしていたときは、先輩はいても上司はいませんでした。所属している事務所の社長などは上司に該当するのでしょうけど、タレントは会社の商品であり1番の主役のため、上下関係は成立していなかったのです。
なかには社長に対してもタメ口でOKなタレントさえいて、日常生活で敬語を使う機会が減るのも決して珍しくありません。しかし一般社会に入ると、これで許されるわけがないです。
もうチヤホヤしてくれるファンも、気を遣ってくれるマネージャーもメイクさんも、タメ口を許してくれる社長もいません。そんな環境のなか、ある程度の節度を保ってコミュニケーションを取り、距離感にも気をつけることが筆者には困難でした。
何か質問をするときでも「これって〇〇でいい?」と、まるで友人に聞くような口調で上司に話してしまうこともあったほどです。また、距離感については今でも悩むことは多く、三十路を前にして恥ずかしいけれど、「正しく他人と接する」は相変わらず人生の課題だといえます。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。