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新幹線のリクライニング、前席の人が無言で倒して私のパソコンが損傷 弁償請求は当然の権利ですよね?【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

新幹線でリクライニングを倒す時、後ろの座席に一声かけるべきかどうかは、たびたびSNSでも議論になるテーマです。お笑いコンビ「スリムクラブ」の真栄田賢さんも、後ろに座る女性に確認をとってから倒したところ、角度を巡ってやり取りが続いたというエピソードをSNSに投稿し、大きな反響を呼びました。

では、たとえばリクライニングを無言で倒すことで、後ろの座席の荷物やパソコンが壊れてしまった場合、倒した側に責任は発生するのでしょうか。ベリーベスト法律事務所の齊田貴士弁護士に、法的な観点から話を聞きました。

民事の賠償責任は生じ得るが、刑事罰の対象にはならない可能性がある

ー後ろの座席の荷物やパソコンが破損した場合、倒した側に法的責任は発生するのでしょうか

民事上の不法行為責任、いわゆる損害賠償責任は生じ得ると思います。民事上の不法行為責任は、故意だけでなく過失の場合も含まれるためです。

リクライニングを倒す際に後ろの状況を十分確認しないまま、声がけも無く、勢いよく倒し、それが原因で荷物やパソコンが壊れれば、過失があったとして賠償を求められる可能性があります。

ー器物損壊罪など刑法上の犯罪に問われることはあるのでしょうか

刑法上の犯罪は成立しないと考えます。該当し得る罪としては器物損壊罪(刑法261条)が挙げられますが、この罪は過失の場合には成立せず、わざと壊した故意犯の場合にしか成立しません。うっかりリクライニングを倒して荷物を壊してしまったというケースでは、刑事責任を問われることは基本的にないといえます。法的責任が発生するとしても、民事上の話にとどまり、対象になるケースは限定的といえそうです。

ー後ろの座席の人にリクライニングを倒す許可を得ていれば、破損などがあっても法的責任は軽くなりますか

了承を得ていたとしても、責任が完全になくなるわけではありません。後ろの座席の人が同意しているのは「リクライニングを倒すこと」自体であり、「不注意によって荷物を壊すこと」まで許容したわけではないからです。

仮に声をかけていたとしても、後ろの状況を確認せず勢いよく倒し、破損につながれば、過失があったとして賠償責任を問われる可能性は残ります。反対に、声をかけたうえで丁寧に確認していれば、過失は認められにくいでしょう。

◆齊田貴士(さいだ・たかし) 弁護士
神戸大学法科大学院卒業。弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。

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