小学3年生の息子を育てる40代専業主婦のAさんは、2026年4月から給食費が実質無償になり、毎月の出費が減ったことをうれしく思っています。ところがある日の夕飯どき、ランドセルを下ろした息子が「今日の給食、ナゲット1個だけだったよ」とつぶやきます。茶碗を持つ手を止めたAさんは、思わず「え、それだけ?」と聞き返しました。
気になってママ友のグループLINEで聞いてみると、「無償化になったから質が落ちたのかな」との返信がきます。Aさんは給食の無償化そのものはありがたいと思う一方、栄養や量が足りているのか不安を感じました。SNSでも同じような戸惑いの声が広がっており、「無償化と引き換えに中身が減っているのでは」と感じている保護者は少なくないようです。
実際のところ、給食の現場では何が起きているのでしょうか。保育園や小学校で栄養士としての勤務経験を持ち、現在は20年以上、子ども料理教室『Smile Cooking Furuta』を主宰する古田久子さんに話を聞きました。
給食が少ない?家庭で補うポイントも解説
――給食費無償化により、実際に給食の量や質が下がるケースは起きているのでしょうか。
ここ数年、肉や魚、油などの食材が軒並み値上がりしていて、限られた給食費の中で栄養バランスを保ちながら、量やおかずの品数を工夫しなければならない現場が増えているのは事実です。
そのため、無償化になったこと自体が原因というよりも、食材の値上がりのスピードに給食費の見直しが追いついていないことが、おかずが少なく感じられる背景にあると考えられます。
――育ち盛りの小学生にとって、給食の量が減ることで成長への影響はありますか。
学校給食は、学年ごとの成長に合わせて必要な栄養量が定められており、1日に必要な栄養のおよそ3分の1を給食でまかなうように作られています。エネルギー量の目安は学年によって異なりますが、おおよそ600〜800キロカロリー程度です。
そのため、おかずが極端に少ない日が続けば、栄養が足りなくなる心配が出てきます。ただ、「ナゲット1個」のような日が連続していなければ、それだけで成長に影響が出ると決めつけるほどではありません。
心配なのは、少ない量が毎日のように続く場合です。子どもが「最近お腹がすく」「前より量が少ない気がする」と話す日が増えてきたら、献立表を確認してみるとよいでしょう。
――給食だけで栄養が足りないと感じた場合、家庭の食事で補うポイントはありますか。
まず見てほしいのは、肉・魚・卵・大豆製品といった「体を作るもとになる食べ物」が、晩ごはんに入っているかどうかです。給食でおかずが少ないと感じた日は、夕食に卵焼きや納豆、豆腐などを1品足すだけでも、たんぱく質を補いやすくなります。
毎日完璧を目指す必要はなく、1日単位ではなく1週間くらいの単位で「肉と魚とたまごと大豆製品がバランスよく出てきたか」を振り返る感覚で十分です。
――品数を増やす時間や余裕がない家庭でも、手軽に栄養を補えるメニューやコツがあれば教えてください。
忙しい日は、1品にいろいろな栄養をまとめるのがコツです。豆腐入り味噌汁や卵スープ、チーズトーストなら、手間をかけずにたんぱく質もとれます。もう1品ほしいときは、冷凍ブロッコリーを電子レンジで温めたり、ミニトマトを添えたりするだけでも、立派な副菜になります。
毎日何品も作る必要はなく、1品の中に肉や卵、野菜、大豆製品を組み合わせるだけで、栄養バランスは整います。無理なく続けられる工夫を見つけることを意識してみましょう。
◆古田 久子(ふるた・ひさこ) 元保育園栄養士/料理教室「Smile Cooking Furuta」主宰
現在、名古屋市で20年以上続く子ども料理教室「Smile Cooking Furuta」を主宰。年中から中学生までを対象に、料理を通して「食べる力」と「自分でできた!」という自信を育む食育活動を行っている。保育園や小学校での栄養士勤務経験を生かし、Instagramでは親子で楽しめるレシピや子どもの食に役立つ情報を発信中。
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