ポロン、ポロンと室内に柔らかな音色を響かせながら、「旅愁」や「上を向いて歩こう」などの懐メロを、まだ指の動きがぎこちない生徒とともに弾き語りをした。水谷悟さん(69)=京都府南丹市園部町=は、今は園部町と八木町で約20人にウクレレの弾き方を教えている。「指を動かすので認知機能も高まり、楽しく健康維持ができる」と魅力を語る。
ウクレレとの出会いは2005年ごろ。当時、フラダンスを習っていた妻の発表会に出かけた際に、後に師匠となるバンドマンの男性から「やってみないか」と声をかけられた。楽器には縁遠い人生だったが、愛妻が躍る後ろで一緒に演奏したいと思い立ち、一念発起した。
最初の5年間は演奏のみに徹し、腕を磨いた。その後、弾き語りを始めることになり、度胸付けのために高齢者施設や喫茶店で客前に立った。ウクレレは同じ弦楽器のギターに比べて弦の数が少なく、習いやすいとされる。歌や踊りに合わせてどう音色を出せるのかが肝心で、楽器の奥深さにどんどんとりこになっていった。
3年前に、師匠に代わり、亀岡市の商業施設の教室で講師を務めるようになった。教えられる側から教える側になり、「うまく弾けない!」とくじけそうになる生徒の姿を見て、どう教えればいいのか1年間ほど苦悩した。別々に記されている歌詞と弦の押さえ方を記したコードを一度に確認できる独自のコード表を作り、解決した。生徒からは演奏できるようになったと喜びの声が寄せられ、指導に手応えを感じた。さらに演奏のハードルを下げるため、指の配置が違っても同じように聞こえるコードもあることから、指が押さえにくいコードを、簡単なコードに置き換える試みも始めている。
なによりうれしかったのは、教室に通う高齢女性が「閉じこもりがちだったが、ウクレレを習うことで友達もでき、元気になれた」と涙ながらに伝えてくれた言葉だった。ウクレレの柔らかな音色は、人の心を穏やかにして、つながりも広げていく。