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「今までのことを謝りたい」 いじめっ子と校舎裏へ 満たされない苦しみが生んだいじめの連鎖【漫画】

海川 まこと 海川 まこと

自分が強く否定されると、その苦しさを誰かにぶつけてしまうことがあるものです。「どうして自分ばかりこんな思いをしなければならないのか」と感じたとき、他人の幸せや無邪気さが許せなくなってしまうこともあります。そんな加害者側の苦しさにも踏み込んだ、うみの韻花さんの作品『友達が整形で中学デビューした話』からの抜粋エピソードがX(旧Twitter)に投稿されました。

見た目のかわいさによるカーストがある学校で、ハナはいじめられていました。そんなある日、ハナをいじめていたクラスメイトの九条が「今までのことを謝りたい」と言い、ハナを校舎裏に連れ出します。

ハナは「これでいじめがなくなって元の学校生活を送れる」と思っていると、九条は急にハナを突き飛ばしました。倒れながら「なんでこんなことするの?」と言うハナに対して、九条は「あんたがブスだからいじめるの」と、強い言葉をぶつけます。

九条がこの考えにいたったのは、母親の影響がありました。九条は幼いころから母親に「女の子はきれいじゃないと価値がない」と言われ続けて育ってきました。好きなおやつを取り上げられ、「もっと食べたい」と言うと、「あなたなんて産むんじゃなかった」と否定されてしまいます。

母親に愛されたい一心で自分を磨き、必死にかわいくなる努力を続けてきたからこそ、何も気にせず楽しそうに笑っているハナの姿を見ると、九条は「自分はこんなに苦しい思いをしてきたのに」と怒りが込み上げ、感情を抑えられなくなってしまうのでした。

さらに九条は、周囲の友人たちにハナを押さえつけさせ、かつてはハナの友人だったアオイに泥水をかけるように命じます。じつはアオイは以前、九条にいじめられていた過去があったけれど、整形をして美少女となることで、いじめから逃れていました。

そんなアオイに対し、九条は「整形したことをSNSでバラす」と脅していたのです。再びいじめの標的になることを恐れていたアオイは、反論することができませんでした。しかしアオイはここで、ハナに本音を打ち明けて謝罪することで、2人は再び友人として向き合うことになります。

そして、そこからアオイは九条への反撃を始めるのでした。アオイは九条がハナに暴言を吐いている様子を、スマホで録画していたのです。さらに、自身のSNSアカウントには1万5000人のフォロワーがいることを明かし、この動画を公開されたらどうなるのか九条に想像させながら「謝って」と迫ります。

追い詰められた九条は、なんとアオイのスマホを奪って逃走するのでした。しかし、その途中で学校に呼び出されていた自身の母親と鉢合わせします。事情を知った母親は、九条を平手打ちし、ハナやアオイへ謝罪しました。しかし、その謝罪の場でも、母親は娘である九条を見下すような言葉で責め立てます。

読者からは「女の子に生まれたなら、きれいじゃなきゃ…って重たく乗りかかってるつらさ…」「学校という狭い世界の中でいじめられるかと思うと、すごい恐怖なんだよ」など、さまざまな声があがっています。そんな同作について、作者のうみの韻花さんに詳しく話を聞きました。

加害者と被害者、その裏側にある苦しさ

――同作を描こうと思われた理由や、きっかけはありますか?

いじめのニュースなどを見るたび、「いじめる側が100%悪い」のは大前提としつつも、「なぜその子は人を攻撃せずにはいられなかったのか」という背景に、昔から関心がありました。本作のいじめっ子のように、親から「かわいくありなさい」と過剰に呪いをかけられて育った子は、自分の抑圧された苦しさを、別の形で誰かにぶつけてしまうことがあります。被害者の傷は決して消えませんが、加害者側もまた別の歪んだ環境の「被害者」であるという、白黒つけられない現実の苦しさを描きたいと思ったのがきっかけです。

――外見にコンプレックスを持つ方は多いと思いますが、それが親からの厳しい言葉や態度につながることも、実際には珍しくないのでしょうか?

エッセイ漫画を通して読者の方から体験談をいただきますが、実際、非常に多いと感じています。実は私自身も、かつて美容外科医である父親から「ブス」と言われ、二重埋没手術をさせられた経験があります(著書『14歳で整形した私』にて描いています)。そうした自身の経験からも痛感していますが、最も身近な親からのルッキズム(外見至上主義)の刷り込みは、子供の心に深く突き刺さります。親に認められたいからこそ、その言葉が呪縛となってしばり続け、大人になってからの生きづらさや過度な整形願望につながってしまうケースは決して珍しくありません。

――特に読者に考えてほしい部分や、受け取ってほしいメッセージはありますか?

「誰かを傷つける人の背景には、その人自身の満たされない苦しみや環境の歪みが隠れていることがある」という点です。だからといっていじめが許されるわけではありませんが、物事を「善と悪」「被害者と加害者」という単純な二元論だけで片付けず、その裏側にある複雑な人間の感情や、世代間で連鎖してしまうルッキズムの根深さについて、少しでも考えるきっかけになればうれしいです。

<うみの韻花さん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/umino_otoka
▽電子書籍「友達が整形で中学デビューした話」(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0GCRZD38Y
▽電子書籍「14歳で整形した私」(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0D6R357DS

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