就職活動で、企業から不当な書類提出や不適切な質問を求められた経験はありませんか。日本労働組合総連合会(連合)が実施したアンケート調査で、採用選考の過程で戸籍謄(抄)本の提出を求められたことが「ある」と回答した人が39.1%に上り、前回調査から8.3ポイント上昇していることが明らかになりました。
この調査は、日本労働組合総連合会(連合)が、最近3年以内に採用試験(新卒・中途)を受けた全国の15歳〜29歳の男女1000人を対象として、2026年4月にインターネット上で実施したものです。2019年、2023年に続き、今回が3回目の調査です。
規定外の応募用紙を求められるケースが依然多数
採用選考では学歴に応じた応募用紙のルールが設けられており、中学校卒には「職業相談票(乙)」、高校卒には「全国高等学校統一用紙」の使用が定められています。ところが、実態は異なります。
はじめに「採用試験に際し、規定と違う応募用紙の書類の提出を求められたことがあるか」と質問したところ、中学校卒(37人)の51.4%、高校卒(248人)の47.2%が、それぞれ規定とは異なる用紙で提出したことがあると答えました。中学校卒は前回調査(2023年58.1%)から減少したものの、半数以上が今もルール外の対応を受けています。
大学・専門学校・短期大学卒についても、会社独自の履歴書を求められた割合は、専門学校・短期大学卒で48.1%、4年制大学・大学院卒で54.8%に上りました。とりわけ専門学校・短期大学卒では前回(2023年・41.6%)から5ポイント以上増加しており、企業側のルール順守が十分に進んでいないことがうかがえます。
内定前の健康診断要求は減少傾向も…
職業安定法では、社会的差別の原因となる可能性がある個人情報の収集は原則として禁止されており、採用選考時に戸籍謄(抄)本の提出を求めることは認められていません。
しかし、今回の調査で「採用選考に際し戸籍謄(抄)本の提出を求められたこと」について聞いたところ、提出を求められたことが「ある」と答えた人が39.1%と前々回の2019年(19.4%)、前回の2023年(30.8%)から大幅に増加しました。
また、最終学歴が中学校の人に限ると「ある」が54.1%と半数を超えており、中卒者の採用において問題が顕著であることがうかがえます。
そして、合理的な理由なく内定前に健康診断書の提出や健康診断の受診を求めることも、認められていません。今回の調査で「内定が出る前に健康診断書の提出や応募した会社が手配した健康診断の受診を求められたこと」について聞いたところ、「ある」と回答した人は42.1%と前々回の2019年(48.6%)、前回の2023年(52.0%)よりも9.9ポイント下降しており、改善の傾向が見られます。
ただし、最終学歴が中学校の人では62.2%と突出して高く、依然として課題が残っています。
応募書類での不適切な記入要求も広く横行
次に「採用試験に際し、応募書類やエントリーシート(インターネットの応募画面での入力を含む)で記入を求められたか」という質問についても、不適切なケースが多数報告されました。最も多かったのは「性別」(74.2%)で、次いで「本籍地や出生地に関すること」(45.6%)、「家族に関すること」(38.6%)、「生活環境・家庭環境などに関すること」(28.3%)が続きました。
また、「尊敬する人物に関すること」(28.1%)、「人生観、生活信条に関すること」(25.5%)、「労働組合に関する情報、学生運動など社会運動に関すること」(25.1%)、「思想に関すること」(22.4%)なども2割台に上りました。これらはいずれも応募者の思想を推し量ることができる項目であり、記入を求めることは適切とはいえません。
最後に、前回調査と比較すると、「性別」のみ下降(2023年・80.5%→2026年・74.2%)しましたが、その他の項目はすべて上昇しました。中でも「住宅状況に関すること」は8.5ポイント(2023年・17.5%→2026年・26.0%)、「支持政党に関すること」は7.4ポイント(2023年・9.9%→2026年・17.3%)、「宗教に関すること」は7.1ポイント(2023年・9.0%→2026年・16.1%)と大幅に上昇しており、不適切な情報収集が広がりつつある実態が明らかになりました。
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最終学歴が中学校の人では、「性別」を除くすべての項目で全体より10ポイント以上高い結果となりました。ルールを順守せずに書類提出を求めるケースは、中卒者の採用において特に目立っており、採用側の意識改善が必要であることが、今回の調査から改めて浮き彫りになりました。
【出典】
連合(日本労働組合総連合会)調べ(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)