食を切り詰める暮らし
物価上昇が続く中で、家計の負担は増し、誠さんは自身の食事を後回しにする日々が続いていました。食品支援を利用する以前、食卓に並ぶことが多かったのは、安価で量を確保しやすい食材だったそうです。
「もやしとニラをスープにして、それでお腹を膨らませることもありました。それからキャベツを1玉買ってきて、家で千切りにして、それをみんなで分けて食べていました」
こうした食事は一時的な対応ではなく、生活の中で繰り返されてきたといいます。
「こちらの食品支援を利用するようになって、お米が食べられるようになりました」
個人の問題ではなく、構造の問題として
誠さんは、介護職として長年にわたって現場で働き、専門性を積み重ねてきました。しかし、正社員としてフルタイムで働いていても、家族が十分な食事をとれるだけの生活を送ることが容易ではない状況に置かれています。
本事例からは、働き方や賃金水準、物価高といった複数の構造的・社会的要因が重なり合うことで、個人の判断や努力のみでは解消が難しい状態が続き、その影響が日々の暮らしに及んでいることが示唆されます。
また、保護者がひとりで子育てを担う家庭では、次のような状況に直面するケースも少なくありません。
・働ける職種や時間に制約が生じやすく、収入を増やすための選択肢自体が限られやすい
・仮に、転職など環境を変える選択を検討した場合でも、収入が一時的に下がる、雇用が安定するまでに時間を要するなど、生活に直接影響するリスクを伴う可能性がある
生活がすでにぎりぎりの状態にある立場で、こうした状況やリスクを打開して暮らしを再建することは、容易ではありません。
このような状況は、決して個人の選択や努力の結果として生じているものではなく、社会構造のあり方によって生み出されている側面があります。その結果として、生活費の中でも比較的調整しやすい食費を削らざるを得ず、保護者が自身の食事を抜いたり、子どもに十分な食事を用意したくても難しい状況が、現実として生じています。
低所得のひとり親家庭を対象とした無償の食品支援を2017年より継続している同法人は、「現場では支援を必要とする家庭の増加を強く実感している。配付拠点の拡充や、支援世帯数の拡大は喫緊の課題」と指摘。
一方で、「支援を必要とする家庭が増え続けないためには、同じ社会の中で生じている困窮した暮らしの実態を知り、それを個々の家庭の問題として捉えるのではなく、社会全体の課題として認識することが不可欠」としています。
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【出典】
▽認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン/ひとり親家庭の収入・暮らしの状況に関するアンケート
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000128.000005375.html