ひとり親家庭を対象としたフードバンク事業『グッドごはん』を運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン（東京都大田区）は、このほど「ひとり親家庭における年末年始の暮らし」に関する調査結果を発表しました。同調査によると、物価上昇により、約6割が「季節のイベント（お正月・クリスマス）に際した食事や品物の用意を諦める」と回答したことがわかりました。
調査は、首都圏、近畿圏、九州圏に居住し、同事業を利用するひとり親2198人（ひとり親家庭等医療費受給者証を有する保護者）を対象として、2025年11月にインターネットで実施されました。
まず、「今年の年末年始における家計負担の見通し」を聞いたところ、「非常に苦しい」は48.8％、「やや苦しい」は35.1％となり、合わせて約8割に及びました。
また、「年末年始の家計負担を減らすために家庭で実際に行う予定の事柄」については、「季節のイベント（お正月・クリスマス等）に際した食事や品物の用意を諦める」（62.7％）、「栄養面よりも価格を優先して食材を買う」（59.9％）、「自分（保護者）の食事の量を減らす」（50.2％）といった食事に関する項目が上位に挙がったほか、「寒さを我慢して暖房やお湯の使用を控える」（47.8％）という回答も見られ、以下のようなコメントが寄せられました。
▽クリスマスとお正月は無いものと思い、もやしと納豆で栄養を摂る。
▽光熱費が高いので、お風呂は溜めることはできない。
▽クリスマスにお正月、子どもたちが楽しい季節ですが、我が家は切り詰めないといけない季節。
▽毎年生活が苦しいので年末年始らしいことはなにもできないし、服をきこんで暖房をつけないようにするだけ。
▽毎年、年末年始は経済的に余裕がないどころか、足りないくらいで、生きるのに精一杯。毎年、お正月だからと特別な食事を用意することもできていなかったのに、今年は特に難しそうなので、今から辛い。
▽パート勤務で給料が時給制のため、毎年、年末年始は仕事が休業となり収入が減る。子供も年末年始の預け先がなく副業ができないし、食費や光熱費の出費が多くなり困窮している。それに加えて物価高があり、年々家計が苦しくてクリスマスやお正月と言っていられない。
続けて、物価上昇により、「昨年の同じ時期と比べて、現在の暮らしの中で変わったこと」を聞いたところ、「十分な食料を買えないようになった／買えないことが増えた」（63.4％）、「貯金を切り崩して生活するようになった／切り崩すことが増えた」（54.3％）、「生活に必要な水道・電気・ガスの使用を控えるようになった／控えることが増えた」（50.2％）が上位となりました。
また、「物価上昇を受けて、この年末年始の家庭での食事にどのような影響が出ると思いますか」という質問に対しては、「季節のイベント（お正月・クリスマス等）に際した食事を用意できない」（63.8％）や「経済的に購入できる食材が限られ、栄養が偏る」（62.3％）に回答が集まり、自由記述では以下のようなコメントが寄せられました。
▽お祝いのご飯を作るにも、食料品の値上げで苦しい。お正月どころではない。
▽物価や光熱費が上がり続けているので、長期休みは食費が嵩みます。普段でも自分の食事を削っていますが、更に削る必要があります。
▽食品があまりにも高額になっていて日々の買い物に悩まされます。口に入れば何でも良いわけはなく、子どもの健康と栄養面をどう支えていくのか。クリスマスやお正月、食事の楽しみを味わわせてあげたい気持ちと、現実的な金銭面での難しさ。
さらに、この年末年始の「暖房の使い方」については、「著しく節約するため、寒さを感じても暖房をつけない」（11.1％）と「かなり節約するため、暖房を使う時間や部屋、設定温度を大きく制限して、多少寒くてもなるべく暖房をつけない」（32.5％）を合わせて4割強が「暖房の使用を控える」と回答し、以下のようなコメントが寄せられました。
▽電気代がとても高く、暖房を極力使わず過ごすつもりです。
▽なるべく光熱費削減のため、寒くても服を重ね着するなどして、暖房器具は使わないようにしています。
▽今ですら暖房代節約のため暖房機器使わずに着込んだりしているが、もっと寒くなったら電気代やガソリン代、灯油代など、心配が尽きない。
最後に、年末年始や子どもの学校の長期休み中など、家計の負担がかさむ時期に「国や自治体からどのような支援があれば助かると感じますか」という質問に自由記述で答えてもらったところ、「現金給付」が特徴的かつ重要度の高い単語として抽出され、“今日・明日すぐ使える”“確実に手元に届く”支援を必要としている可能性がうかがえました。
