“布道楽”だった亡き母が残していた、しつけ糸付きの未使用の着物。家族も存在を知らなかったその一着に、結婚式への参列を機に娘が初めて袖を通したところ、着物を見慣れた着付け師や介添えスタッフから、色柄や帯との組み合わせまで褒められたといいます。思いがけず母のセンスを実感することになった装いに、「母のセンス恐るべし…!」とつづった投稿がThreadsで反響を呼んでいます。
投稿したのは、趣味についてSNSで発信しているRieさん(@riekko_t)。Rieさんの母は、生前「布道楽」だったそうです。
「私が物心つくころから母は『手芸』が趣味で、パッチワーク、刺し子、ちりめん細工など『布』にかかわること全般が大好きでした」
家には「布を収納し愛でるための箪笥(たんす)」があり、引き出しを開けては「この布素敵だわー」と眺めていた姿が印象に残っているといいます。特に晩年は、ちりめん細工用のアンティーク着物や反物の収集に熱中していたそう。
母自身が着物を着る機会は「ハレの日」が中心でしたが、3姉妹それぞれの振袖を成人式用に仕立ててくれたといいます。浴衣も反物から手縫いで作ってくれたもので、20年以上経った今も着続けているのだとか。
今回話題となった着物は、母の死後、遺品整理をしていた姉が見つけたものでした。「今回の着物の存在は、母が存命のときは誰も知らず」と笑います。
40代になり結婚式へ招かれる機会も減る中、「せっかくなら着物を着たい」と思ったRieさん。姉に相談すると、「いいやん!母も喜ぶわ」と快諾され、母の親友で呉服屋のおかみさんであるKさんも交え、着物選びが始まりました。
こうして選ばれたのが、季節にぴったりの山桜柄と自身の好きなグレーラベンダーの色味が決め手となった一着でした。「もしかしたら、このときに着るために母が仕立てて置いてくれていたんじゃないか?と思うほど好みでした」と振り返ります。
準備では、姉とKさんが小物合わせを楽しみながら進めてくれたそう。
「着物は『重ねる文化』『色合わせの文化』と言いますが、『あれがいい』『これがいい』と、いろいろ組み合わせながら選んでくれていました」
その様子を聞きながら、「もしここに母がいたら、もっと盛り上がって小物選びをしてくれたんだろうなあ」と感じたといいます。
結婚式当日には、着物を見慣れたスタッフたちからも称賛の声が上がったそう。着付け師からは、「肌じゅばんも、きれいな品物ね」と褒められ、帯についても「きれいなグラデーションが見えるように」と、ていねいに調整してもらったといいます。さらに介添えスタッフからは、「私も着たい!貸し出してほしいくらい!」と言われたのだとか。
「母のセンス恐るべし…! と思った時間でした」
「もし今、母にこの着物を着た写真を見せられるなら、『やっぱり、母のセンスはさすが!!』と伝えたいです。母は流行にも敏感だったので、『そうでしょ、そうでしょ。時代が私に追いついたのよ』と言うと思います(笑)」
投稿には、着物好きの人たちから多くのコメントが寄せられました。母が100年近く前の着物を集めていたことにも触れ、Rieさんはこう話します。
「着物は、時代を超えて受け継がれていくもの。今回の投稿が、そうしたもののよさを再認識してもらえるきっかけになれば、うれしいです」