追い出されたリス、その後は別の巣箱へ
では、今回の動画で巣箱から追い出されたリスは、その後どうなったのでしょうか。柳瀬さんによると、追い出されたリスは、また別の巣箱に侵入していたそうです。
「空いている巣箱を使ってくれるとありがたいのですが(笑)。いくつか拠点を持っているリスもいるので、自分の巣箱に戻ることもありますし、危険がない飼育下ゆえの行動ですが、その辺の地べたで腹を出して寝ている個体もいます」
なぜ、他のリスの巣箱を欲しがるのか。その理由については、柳瀬さんも「正直分かりません」と話します。
「リスにも個性があるため、性格によるものなのかもしれません。また、自分で巣材を集めるのが面倒で、最初から巣材が入っていて、ほどよく使い古された他の巣箱を乗っ取りたいという動機はあるかもしれません。とはいえ、あらかじめ空き巣箱に巣材を詰めても、そこに住むとは限らないんです。どんな巣箱がリスにとっての“人気物件”なのか、飼育員も知りたいところなのですが分かりません」
また、クリハラリスは一年を通して繁殖が可能ですが、その代わり一回の産出数は少ないそうです。なお、町田リス園では、環境省の許可を取ってクリハラリスを飼育しています。
「クリハラリスは縄張り意識が強い方ではありません。群れを作るわけでもないので、社会性も高いとは言えません。ただ、比較的密に生活しているため、個体間で音声コミュニケーションをとる特徴があります」
動画に映る巣箱の攻防も、そんなクリハラリスの暮らしの一場面なのかもしれません。
じっと観察すると見えてくる「リスドラマ」
町田リス園で来園者に注目してほしいポイントについて、柳瀬さんは「リスにも個性があり、それぞれ性格があるんです」と話します。
例えば、嘘の警戒音を発して周りのリスをだまそうとする個体。きれいにクルミを割る個体と、力ずくで割る個体。人に飛び乗る個体もいれば、びっくりして乗れない個体もいるそうです。
同じリスでも、行動や反応はそれぞれ。エサを食べる姿だけでなく、周囲のリスとの距離の取り方、巣箱の使い方、鳴き声の出し方などをじっくり見ていると、それぞれの個性が少しずつ見えてくるといいます。
「じっと観察していると、さまざまな人間ドラマならぬ『リスドラマ』が見られます。エサやりだけでなく、じっくり眺めていただけると、より町田リス園をお楽しみいただけるかと思います」
日本では特定外来生物に指定されているクリハラリス。町田リス園の公式Xでは、その興味深い生態などについても発信しています。愛らしい仕草や行動を入り口に、意外な一面を知ることができるのも、町田リス園ならではの魅力です。