tl_bnr_land

事件で使われた凶器、見た目は明らかなのに「バールのようなもの」とぼやかして報道される理由 なぜ言い切らないのか?警察に聞いた

平藤 清刀 平藤 清刀

人が傷つけられたり命を奪われたりする事件で、犯人が使用した凶器を「刃物のようなもの」「バールのようなもの」と曖昧に表現する報道が少なくない。最近の例だと、栃木県上三川町の住宅に16歳の少年ら4人が押し入り、69歳の女性が殺害された事件では、メディアは凶器を「バールのようなもの」と報じている。

これはマスコミ用語かと思っていたら、意外にも警察から出される報道資料で使われる表現だという。なぜ「~のようなもの」なのか。複数の警察本部へ取材を試みたところ、大阪府警察、愛知県警察、栃木県警察、警視庁(東京)の、それぞれ広報担当が背景を明かしてくれた。

「特定できないだけで他意はない」(警察)

大阪府警察によると、犯行に使われた凶器が特定できないうちは「~のようなもの」という表現でメディアに発表しているそうだ。 例えば、殴られた痕が、バールによるものか鉄棒によるものかを特定できず、おそらくバール状の凶器であろうと推定されるケースなどが該当する。

「何か別の意図があっての話ではなく、特定がされてないので、バールのようなものとか刃物のようなものという表現なのです。凶器の写真が明らかにバールでも『ホンマにこれで殴ったのか?』と疑問が残るうちは、バールのようなものという表現になります」

他にも、被害者が銃で撃たれた場合は、銃創(銃で撃たれた傷)から「たぶん拳銃じゃないかな」と推定されるときは「拳銃のようなもの」あるいは「銃器」という表現になるそうだ。

一方、愛知県警察では、「発表される段階でそのものが特定されていなければ、得られている情報や形状などから『~のようなもの』とすることがあります」とのこと。

逆に捜査段階で物が押収されて特定されていれば、それを「~のようなもの」とせず、はっきりと物の名称を用いるそうだ。

また、警視庁の見解は、次の通りだった。

「関係者のプライバシー、公益性、捜査への影響を事案ごとに総合的に勘案し、発表の適否や表現を個別に判断しています」

そして、記事の冒頭で引き合いに出した事件を捜査している栃木県警察からは、「そのように発表する理由は事件によって様々であり、一概にお答えいたしかねます」との回答を得た。

「バールのようなもの」が「バール」に特定されるタイミング

犯行に使われた凶器は、いつか特定されるときが来る。例えば「バールのようなもので殴った」という表現が「バールで殴った」になるのは、どのタイミングなのか。

大阪府警は「特定できたとき」だという。だが、捜査に差し支える場合は、特定できても敢えて発表しないこともあるとのこと。

警視庁は「鑑定が終わった後とか、犯行に使用された凶器を押収したときとか、そこは具体的にお伝えできないんです」と、申し訳なさそうな口調だった。だが、何らかの理由で凶器が特定できたときに、「~のようなもの」でなくなる認識で差し支えないという。

かねてから気になっていた「~のようなもの」という表現。実は警察発表の時点で、そのような表現が使われていることや、その背景に捜査上の理由や凶器が特定できないなどの事情が絡んでいることも分かった。これからは事件報道の読み方が、少し変わるかもしれない。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース