「元夫は、暴力を振るうわけでも 生活費を入れてくれないわけでもなく お酒も飲まない もちろん浮気もなかった。だけど 何かの拍子に機嫌が悪くなって そうすると何週間も口をきいてくれなくなる。家の中の空気は緊張感でピーンと張り詰めて……20年もそれをやってきて、もし別れたらどうなんだろう?と想像してみたら……」
結婚直後から、ふとしたきっかけで始まった夫の無視。よもさん(@yomogimochi_333)は約20年間、耐え続けました。
結婚生活での無視について赤裸々に綴った投稿には、「私も40年間耐えて、別居」「無視は何も言えなくなるから辛い」「父がそうでした」など共感の声が多数。
「ただただ困惑し、ビクビクするしかなかった」と語る当時のこと、離婚への揺れ動く気持ち、そして今に至るまでの苦労と幸せなどをお話しいただきました。
家庭内で、ある日突然の完全無視
気に入らないことや不機嫌を態度や口調で表し、周囲の人に威圧感や不快感など精神的な負担を強いる「不機嫌ハラスメント」。略して、「フキハラ」。舌打ちやため息、物に当たるなどの言動がありますが、よもさんの元夫の場合は無視といった形で表れました。
「結婚後まもなくからです。ただただ喋らない。無視をするということが数日、長ければ何週間も。子どもたちが成長したら、必要なことは娘を通して伝えてくることもありました」
急に発動される無視に、当時のよもさんは「どうして怒ってるんだろう?」と戸惑うばかり。理由を問うても、「怒ってない!」と言うだけでますます機嫌が悪くなるため、何も聞けない状態に。「私が何をしたの?何がいけなかったの?をずっとひとりで考えていました。息子や娘に相談することもなかったです」と、毎回、生きた心地がしなかったそうです。
「元夫の機嫌が戻ってくるのをひたすら待つという毎日を1~2週間。私が限界になってしまい、最終的には、私の方からいろいろ話しかけて機嫌を取って、ということを繰り返していました。
私がパソコンに向かっていると不機嫌になることが多かったかな、とは思いますが、よくわかりません」
元夫の機嫌が良い時に、それとなく「不機嫌になると、どうして喋らないの?」「無視はやめて欲しい」と伝えたこともありますが、「そういう時は放っておいて欲しい」と答えるだけで、お互いにとってより良い策は見出せませんでした。
「別れてください」に、元夫は…
そんな結婚生活を続けて、気がつけば20年。よもさんは47歳になっていました。「別れたら、無視への不安がなくなるんじゃないかな?と想像するようになったんです」。親子3人で生きていけるのだろうか?という心配や怖さもあり、半年間は悩みに悩んだと言います。
しかし、それよりも理由不明の無視から解放されたい気持ちの方が増し、離婚を決意。離婚を切り出した時の元夫のリアクションは、「わかった」の一言だけ。
「家庭内別居のような状態が続いていたので、“ついに来た”と思ったのではないでしょうか」
元夫が離婚届を置いていった際もあっさりしたものでした。
「娘とだけメールでやりとりしていましたが、息子には何ひとつ言葉も交わさないまま、出て行きました。息子が不憫でしたし、あっけなかったです。“なんだ、これ?”と思いました。それからは、一切交流がありません。子供たちにも同様です」
フキハラに気づいたのは離婚後
「実は、結婚していた頃は、無視されることをおかしいと思っていなかったんです。無視される辛さだけがありました」と当時の心境を明かします。「私が怒らせることをした」と思っていたそうで、結婚生活中は「モラハラ」、「フキハラ」などの言葉もまだ浸透していない頃。
実際、調査(※1)によると、急激に「フキハラ」という言葉自体が広まったものの現時点での認知度は約21%。セクハラ約63%、パワハラ約62%に比べると、まだまだ低い状態です。そんな状況もあって、よもさんが、そのおかしさに気づいたのは離婚後。
「ブログを書いている時に、“もしかしたら、元夫の無視は、モラハラなのでは?”と気づいたんです。気づいた時は、愕然として落ち込みました」
知らないうちに自分の心が支配されていたこと、そして自身の人を見る目のなさにもショックを受けたというよもさんですが、「この経験が誰かの役に立つなら、それで良いかな?」と今は思えるように。結婚当時の気持ちや今の暮らしについて、自身のインスタグラムで発信しています。
心から楽しい、ビクビクしない生活
離婚から13年経った今、「やっと自分らしく生きられるようになった。夫の顔色を見てビクビクしなくてもよいし、本当に楽しく暮らしています」と語りますが、「でも」と続けます。
「できれば離婚なんてしないほうがいい。私の場合、どうしても顔色をうかがう癖があり、言いたいことが言えませんでした。言いたいことを言えず“こんなにやってるから察して!”みたいな感じで圧をかけたこともあったと思います。ゴロゴロしている夫を見てイライラしたこともありました。
今思えば、夫婦喧嘩するほど心を開けていなかった…。でも、夫婦だから自分の欲求はきちんと伝えて対等な夫婦関係を築いて欲しい。私が我慢すればいいんだから…という気持ちでは、いつか限界が来ます」
それでも、離婚を選択するなら、「事前に念入りな準備をするべき」とアドバイス。
「私が離婚を望んだので、財産分与や養育費をもらう権利はないと思っていました。でも、離婚後も子どもたちの学校生活を変えたくなかったから、元夫が所有する家にこのまま住み続けたい、とお願いしたのです」
しばらくは平和な暮らしを親子3人で送っていましたが、離婚して3年後に元夫側の弁護士から「退去通知」が届き、家を追い出されることに。両親の助けを借り、なんとか新しい住まいで生活を立て直しました。
「仕事も順調にあるので、今は幸せですが、経済的に恵まれてなかったら今のような幸せは手に入らなかったと思います。だから、離婚を考えているなら、仕事や住まいなどの準備は必須。
その際は『友達の意見に惑わされないで!』とお伝えしたいです。私自身、離婚前、家庭内別居状態のことなどを相談したら、“早い方がいい”“離婚してもやっていける”と背中を押すような意見をたくさん言われました。でもね、いざ、“仕事がなくて暮らしていけない”となっても、友達は責任を取ってくれません」
離婚前は老後の不安やお金の不安などさまざまな不安に躊躇する気持ちもありました。思い切って自由になることを選び、離婚したものの、我慢して結婚を続けた方が良かったかな、との思いが脳裏をかすめたことも数知れず。
しかし、離婚そのものを後悔したことは皆無。不機嫌や無視に振り回されない生活は、開放感しかないとよもさんは語ってくれました。
「フキハラ」は、調査によると「された経験」では、パワハラに次ぐ2位。なおかつ、「してしまった経験」では1位に。パワハラなどに比べて、自身が相手を「懲らしめよう」「嫌がらせしよう」と自覚してやっているという可能性が高いとも言えるハラスメントです。
相手に対して不満を持ったからといって、あえて無視したり、舌打ちしたりしていないか。わざとらしくドアを強く閉めたり、物を乱暴に扱っていないか……。実は、よく見かける行為だけに、だれもが今一度振り返る必要がありそうです。
ハラスメントに関する調査
調査手法:インターネットリサーチ
調査地域:日本全国
調査対象:23~65歳 男女 有職者
サンプルサイズ:1,069サンプル
調査実施期間:2026年3月18日~3月20日
日本インフォメーション(株)調べ
https://www.n-info.co.jp/report/report-0091/
■よもさん|60歳おひとりさまの暮らし @yomogimochi_333