教員の働き方改革が求められる中でも、成績処理や授業準備など日々の業務負担は依然として大きい状況が続いています。システックITソリューション株式会社(岡山県津山市)が実施した「教員の具体的な残業時間と、校務支援システム導入による残業削減効果の期待値」に関する調査によると、ひと月の残業時間は「20~30時間未満」が最多となり、多くの教員が、教務の多忙さを理由にモチベーションの低下を感じている実態が明らかになりました。
調査は、全国の中学校・高等学校の教職員1010人を対象として、2026年2月にインターネットで実施されました。
はじめに、「学校での役職」について尋ねたところ、「一般教科教員」(43.4%)、「クラス担任(副担任)」(31.1%)、「学年主任」(18.2%)が上位となりました。
また、「現在のひと月の定時外労働時間(残業時間)」については、「20~30時間未満」(22.7%)、「10時間未満」(19.5%)、「10~20時間未満」(16.4%)など、約6割が「30時間未満」と回答した一方、残りの約4割は月「30時間以上」の残業を行っており、中には「60時間以上」(7.8%)という回答も見られ、教職員の働き方が「比較的定時に近い層」と「極端な長時間労働層」に二極化している可能性が示唆されました。
続けて、「定時外労働の原因として、特に時間を費やしている業務」を尋ねたところ、「授業準備(教材作成含む)」(42.2%)、「成績処理」(33.7%)、「学校行事の準備・運営」(31.9%)が上位に並びました。
このような教務の多忙さから、76.9%が「教員としての仕事の『やりがい』が低減したと思うことがある」と回答し、業務過多が肉体的な疲労だけでなく、精神的な充足感(やりがい)をも削いでいる深刻な状況がうかがえました。
では、業務効率化の手段として「校務支援システム」を導入した場合、どの程度の効果が期待されているのでしょうか。
この質問に対しては、「5時間未満」(34.3%)、「5~10時間未満」(23.0%)、「10~15時間未満」(22.7%)など、約8割が月「15時間未満」の事務工数を削減できると予測しており、システム導入に対して現実的な削減を見込んでいることがわかりました。
また、「校務支援システムを活用することで、残業時間は削減されると思う」とした教員は55.9%と過半数を超え、残業削減に期待を寄せている様子が見て取れました。
そこで、「校務支援システム活用などで業務が効率化された場合、削減できた時間を主に何にあてたいですか」と尋ねたところ、「休息・プライベートの充実」(22.4%)、「授業改善(教材研究・指導の質向上)」(21.2%)、「生徒とのコミュニケーション」(20.1%)が上位に挙がり、「本来やるべき教育活動に時間を使いたい」という意欲を持っていることがうかがえました。
こうした「理想の時間」を確保するためには、個人の努力だけでなく、学校全体での環境整備が不可欠ですが、実際には、69.5%が「勤務校での働き方改革は進んでいない」と回答。
一方、「働き方改革が進んでいる」と答えた人に、「特に効果を感じる施策」を聞いたところ、「校務の削減(書類・会議の簡素化、決裁フローの改善)」(39.6%)、「校務支援システムの導入・拡充(成績処理・出欠管理・校務分掌のデジタル化など)」(32.5%)、「業務フローの改善・標準化 (教務・庶務・行事運営の手順整理、年間計画の見直し)」(23.4%)といった物理的な人員増よりも「校務の削減」や「システム導入」が上位に挙げられました。
最後に、「今後、教務業務の効率化を進めるために、必要だと感じる取り組み」を尋ねたところ、「教員数・事務職員数の増員」(58.3%)、「学校内の業務フローの抜本的見直し」(43.8%)、「非効率な校務の削減(ペーパーレス化・会議など)」(33.9%)が上位に挙がり、人員増員への要望は根強いものの、即効性のある施策として「業務フローの見直し」や「非効率な校務の削減」への期待も高まっていることがうかがえました。