株式会社小学館(東京都千代田区)は、同社が運営する教員向けWebメディア『みんなの教育技術』にて実施した「教員の勤務実態」に関する調査結果を発表しました。それによると、9割以上が「持ち帰り残業か休日勤務、あるいはその両方をしている」と回答したことがわかりました。では、時間外勤務の最大の要因はどのようなことがあるのでしょうか。
調査は、全国の教育関係者5412人を対象として、2025年5月~6月の期間にインターネットで実施されました。
まず、「出勤してから退勤するまでの勤務時間」について聞いたところ、「11時間以上12時間未満」(1663人)や「12時間以上」(1372人)、「10時間以上11時間未満」(1343人)など、8割を超える教員が10時間以上、4人に1人が12時間を超えて勤務しており、平均値は11.17時間、中央値は11時間という結果になりました。
回答者からは、「寝る、入浴以外の時間をすべて仕事しているのに、授業準備等が間に合わないため毎日すべてがつらい」(20代)、「仕事量が多すぎてストレスと疲労がたまり、育児が思うようにできない」(30代)などの声が寄せられました。
また、「1日に取得できている休憩時間」については、6割以上が「ほとんどとれない」(3522人)と回答。これに「15分未満」を加えると、この設問に答えた回答者の8割以上の人がまともな休憩を取れておらず、労働基準法が定める休憩時間=45分以上を確保できているのは、わずか1.5%となりました。
休憩が取れない理由としては、「子どもがいる時間は子どもから目が離せないので休憩ができない上に、隙間時間もさまざまな理由から休憩どころではない」という実態や「教員がコントロールできる時間の少なさ」「休憩なしが常態化している」といった理由が挙げられています。
続いて、「持ち帰り残業」について聞いたところ、「ほとんど毎日」(1954人)が最も多く、「週3日以上」が半数以上を占めていることが判明。
また、約9割が「休日にも仕事をしている」と回答した一方、持ち帰り残業も休日勤務も「ほとんどない」と答えたのは401人にとどまり、少なくとも9割以上が一か月のうちに持ち帰り残業か休日勤務、あるいはその両方をしている様子がうかがえました。
そこで、「時間外勤務が起こる要因」を尋ねたところ、「1日の業務量がそもそも8時間以内にできる設定ではないため」(4469人)、「授業準備や記録は平日の日中に集中して取り組めないため」(3294人)、「会議や打ち合わせが放課後に設定されているため」(2983人)など、全体の9割近くが複数の要因を選択しており、解決の難しさがうかがえました。
なお、「勤務時間の長さ以外で、”つらい”と感じる時」としては、「保護者から理不尽なクレームを受けている時」が最多となり、実に約4割を占めました。
一方、「”これがあるから教員はやめられない!”と思うような強い喜びを感じる時」には、「子どもの成長」という意見が目立ち、授業の手ごたえや楽しさといった声と合わせると、子どもの成長や面白い授業という教員本来の仕事が教員の望みであることが伝わってきます。
最後に、「国や自治体が導入している”外部人材による学校支援”に対する満足度」を聞いたところ、導入されている回答者のうち、「とても満足」(213人)、「ある程度満足」(1572人)と回答した人は4割弱にとどまり、その理由として「人手が足りない」「質のばらつき」といった意見が挙げられました。