念願のマイホームを購入して5年。会社員のAさんは、趣味のキャンプ道具を収納するため、庭の空きスペースに少し大きめのコンテナ倉庫を設置しました。台風などで飛ばされないよう、コンクリートで基礎を打ちボルトで固定します。「これで大切な道具も安心だ」と自分だけの秘密基地のような空間に満足していました。
ところが数年後、自治体による固定資産税の巡回調査がおこなわれました。調査員はAさんの庭にある倉庫を見て「この倉庫は基礎に固定されており、屋根と壁があるため『家屋』とみなされます。今後は固定資産税の対象となります」と告げます。さらに、新築時にこだわった「屋根一体型」のソーラーパネルも、通常の家より税額が高くなる要因の1つだと判明しました。
固定資産税には、調べないと分からない隠れた罠が多く存在しています。ではどのような設備が課税対象となるのでしょうか。正木税理士事務所の正木由紀さんに話を聞きました。
「建物」とみなされる3つの条件
ー固定資産税の対象となる「家屋」とは、どのようなものを指すのでしょうか?
一般的な「家」だけでなく、「外気分離性(屋根があり3方向以上を壁で囲まれていること)」「 土地定着性(基礎などで地面にしっかりと固定されていること)」「用途性(その空間が、居住や作業、貯蔵などの目的で使える状態であること)」の3つの条件を満たした構造物はすべて「家屋」とみなされ、課税対象になります。
Aさんのコンテナ倉庫は、コンクリート基礎で地面に固定されていたため、「土地定着性」があると判断されました。もしこれが、地面に置いたブロックの上に載せているだけの簡易的な物置であれば、固定されていないとみなされ、非課税で済んだ可能性もあります。
ー庭に設置するカーポートやサンルーム、物置で気をつけることはありますか?
一般的なカーポートは、柱と屋根だけで壁がないため、基本的には「外気分離性」がないと判断され非課税となるケースが多いです。しかし、サイドパネルを取り付けて3方向を囲ってしまうと、課税対象になるリスクが出てきます。
また、サンルームは壁と屋根に囲まれているため、基礎で固定されていればほぼ間違いなく家屋として評価されるでしょう。物置を設置する際は、サイズにも注意が必要です。床面積が10平方メートルを超える場合は、税金だけでなく「建築確認申請」も必要になることがあるため、設置前に自治体の窓口や専門家に確認することが大切です。
ーソーラーパネルも、種類によって税金が変わるのでしょうか?
一般的な「後付け型」は、屋根の上に架台を設置して載せるため、建物の評価には影響しません。しかし、Aさんのように屋根の仕上げ材そのものがパネルになっている「屋根一体型」は、建物の一部(屋根材)として評価されます。その結果、通常の瓦やスレートよりも高価な建材を使っていると判断され、家屋全体の固定資産税が高くなってしまうのです。
自治体によって判断基準が細かく異なる場合もあるため、「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断せず、事前に確認しておくことをおすすめします。
◆正木由紀(まさき・ゆき) 税理士
10年以上の税理士事務所勤務を経て令和5年1月に独立。これまで数多くの法人・個人の税務を担当。現在は、社労士や司法書士ともチームを組み、「クライアントの生活をより充実したものに」をモットーに活動している。私生活では2児の母として子育てに奮闘中。