食料価格の高騰が続くなか、日持ちする常温保存品を安いときに買いだめしてストックしておきたい…と考える人は増えているかもしれません。そんなときに便利な食品収納スペース「パントリー」ですが、せっかく充実させたのに、うまく使えず「雑多な物置」になってしまうケースも少なくありません。
ミネラルウォーターにビール、通販でまとめ買いのあれこれ
Aさん(関東在住、40代、パート)宅のパントリーは、3畳半のウォークイン型で収納力が高い大容量スペースです。
リビングダイニングからキッチン家電が見えないように配置したいと考え、この広さを確保したそうですが、実際にはシンクやコンロから直接見えない位置に家電を置くと料理中にとても不便。早々に「家電の隠し置き」は断念したといいます。
一方、その空いたスペースには、家を建ててから契約したミネラルウォーターの在庫や、安さにつられて定期通販を始めたビールや調味料、洗剤やティッシュなどの生活雑貨のストックがどんどん増えていきました。
「それまでネットの定期購入ってしたことがなかったので、こんなに在庫スペースが必要だとは思っていませんでした。とはいえ戸建てに引っ越してスーパーが遠くなったので、こういったストックは欠かせません。最初は3畳もあるし片側を私専用のデスクスペースにするのもいいなと考えていたんですが、もうそんな余裕はまったくありませんね」
パントリーとしては「大正解」な使い方なのに、どこか後悔が残るという不思議なケースもあるようです。
パントリー兼通路の問題
Bさん(関西在住、30代、会社員)宅のパントリーは、キッチンと洗面・ランドリールームをつなぐ家事導線を意識して設計したウォークスルー型です。小学校低学年のお子さんを育てながらフルタイムで働くBさんにとって、家事を少しでも効率化したいという思いがありましたが、「通路」として使われることで別の悩みが出てきたといいます。
「洗面とつながっている廊下のような雰囲気なので、子どものお友達や義理の父母も普通にそこを通るんです。私としては倉庫というかバックヤードのつもりなんですが、家族に“もう少し片付けて”と言われるのがちょっとストレスで…」
「通路」兼「バックヤード」ならではのお悩みがあるようです。
ゴミの一時保管場所を考えてなかった
Cさん(東海在住、30代、主婦)宅のLDKは2階にあり、寝室や子ども部屋は1階という間取り。パントリーはキッチンの一角にある1畳ほどのスペースで、ダイニングからも見えるため、収納BOXやかごをそろえてインテリアに調和させるよう工夫しているそうです。しかし、どうしても「生活感」が出てしまうものがあるといいます。
「段ボールや紙ごみ、缶・瓶・ペットボトル、不燃ごみ、プラスチック製容器包装、可燃ごみ、あと乾電池など。月に1、2回しか出さない種類のごみもありますよね。以前のマンションは24時間いつでも出せたんですが、戸建てになったら自宅で保管しなきゃいけなくて。結局いちばんゴミが出るキッチンに置くのが便利なんですが、ストックは場所を取るし、見た目も良くないし…。ゴミ置き場をきちんと考えていなかったのが唯一の心残りですね。本当は食品ストックの近くにゴミがあるのは嫌なんですが、他に置き場所がなくて仕方なく…」
ごみのストック場所は、あらかじめ計画しておくとよさそうです。
食品以外も「とりあえずここに置いておこう」
Dさん(関東在住、40代、主婦)宅では、家族全員が「不要か迷うもの」「一時的に置いておきたいもの」をすべてパントリーに持ってきてしまうのが悩みだそうです。学校や保険・保証書などの書類、お土産や試供品でもらったシャンプー、ボタンが取れかけた上着、電池交換が必要なリモコン、クリーニングに出したい服など、さまざまなものが集まってしまいます。
雑然とするパントリー内を隠そうと「のれん」を掛けてみたものの、かえって微妙な雰囲気になってしまったといいます。
「飾り棚に選んだ調理器具やグリーンが並ぶようなおしゃれなパントリーを想像していたんですが、全然実現しませんでした。センスが必要だったみたいですね…」
パントリーは“収納”と割り切る気持ちも、最初から持っておくといいのかもしれません。