「邪魔だから」と伐採された柿の木の断面に、墨を流したような黒い模様が広がっていた――。意外な経緯で黒柿を手に入れたというハンドメイド作家がXに写真を投稿すると、「黒柿!?ヤバすぎ」「めちゃくちゃ高値の価値あるぞこれ」と驚きの声が集まり、3万件近い“いいね”が寄せられました。
野原工芸(長野県木曽郡南木曽町)のサイトによると、黒柿とは立ち木の状態では普通の柿の木なのか黒柿なのか見分けはつかず、樹齢100年以上の古木の中でごく稀に現れる希少な材。山翔銘木堂( 東京都西多摩郡瑞穂町)のサイトでは「黒柿が出る確率は1万本に1本とも言われ、非常に貴重で高価な存在です」と紹介されています。
投稿したのは、素材にこだわった手作りペン・万年筆を販売している、まつかさ堂(@horoosuke)さん。きっかけは、知人からの「邪魔だから切った。欲しけりゃ見るか?」という声かけでした。日当たりの問題で数日前に伐採した柿の木があり、処分に困っているとのこと。木工の材料になるかもしれないと考えた投稿主さんは、さっそく現地へ向かいました。
断面を目にした瞬間、投稿主さんがまず驚いたのはその黒さ。ただ、木はすでにバラバラに切り分けられていたため、樹種がすぐには分からなかったそう。本当に柿の木なのか――。それとも、1000本に1本ともいわれる希少な高級木材「黒柿」かも……。近くに落ちていた柿のヘタや、周辺に残る柿の木の樹皮と見比べながら一つ一つ確認していくうちに、「やっぱり黒柿か?」という確信に変わっていったといいます。
投稿主さんによると、黒柿は大変希少な木材。しかし非常に割れやすいため、材料として実際に使える部分はごくわずかなのだとか。さらに、伐ってすぐ価値が決まるわけではありません。黒柿は乾燥に長い時間が必要で、製材できるのは3年以上乾燥させた後。美しい模様がどう現れるかがはっきり分かるのも、その先だそうです。
今回話題になった断面について、「鳥とんでますね」といったコメントが寄せられるなど独特の模様に注目が集まりましたが、投稿主さんも同様に「鳥のようだと思いました」と語ります。
この黒柿の丸太はその後、投稿主さんが譲り受けることになり、現在は水にさらしている段階で、今後は様子を見ながら乾燥に入る予定だそう。最終的には3年後をめどに木取りを行い、「木のボールペンに加工できれば」と考えていると明かします。