数年前、SNSで知り合った相手から数学の質問を受けたことをきっかけに、チャット越しで勉強を教えるようになったという男性。学校に通えなかった相手の学び直しを数年にわたって支え、夜間中学、さらに夜間高校の卒業まで見届けた後、バレンタインデーにチョコレートが届いたというエピソードがXで注目を集めています。投稿したのは、小説「とある傭兵の勘違い伝承譚。」を連載中の間野ハルヒコさん(@MANOHIKO)です。
間野さんがチャットで勉強を教えるようになったきっかけは、SNSで数学の問題について質問している投稿を見かけたことでした。
「SNSで数学の問題について質問している投稿を偶然見つけて、知り合いました。質問に答え続けるうちに、いつの間にか今までやってきた…という感じですね」
やり取りを重ねるうちに、数学の質問への回答だけでなく、進路についての相談も受けるようになったといいます。実際に顔を合わせたことは一度もなく、お互いの顔も知らないまま、それでもチャットを通じた学習支援は続きました。
相手は、体系的に学ぶ機会を十分に得られなかったことから、学習内容に大きなばらつきがあったそうです。
「基本的にわからないところがあったら聞いてもらう形にしていました。因数分解はできても分数の計算ができないといった状況に陥っていて、こちらとしても『何がわからないかわからない』状態でしたね」
その後、転機になったのは、相手自身が映像授業「Try IT(トライイット)」のYouTubeチャンネルを見つけたことでした。以降は自力で学習を進め、分からない部分だけを間野さんに質問する形に落ち着いたといいます。
「この方法が成立したのはあの子の異様な学習意欲の賜物だと思います。今はもう、わたしより頭よくなってるんじゃないだろうか。全科目テストバトルしたら負ける自信がありますよ」
やがて相手は夜間中学校への入学を希望するようになり、間野さんは教育委員会への問い合わせを勧めたそうです。本人は入学前、不安も抱えていました。
「一度も学校に通学したことがない経験から『夜間中学校に入る学力が自分にあるのか』とかなり不安になっていたので、励ますのがわたしの役割でした。そもそもそうした子を拾い上げるのが夜間中学校の役割ですから、入学しようとしている子が門前払いを受けることはないはずですが、当事者からするとやはり恐ろしいようです」
その後、相手は夜間中学に進学し、さらに夜間高校も卒業。間野さんは卒業祝いとして、配送先の住所を知らなくてもギフトを贈ることができるサービス「TANP」を通じてバスボムを贈りました。
「当時寒かったのでバスボムを送りました。もちろん、おめでとうという気持ちはあります。その上であまり重く考えずに軽い気持ちで使って身体を温め、その後は泡のように消えたらいいなという次第です」
そんな間野さんのもとに今回届いたのが、バレンタインデーの生チョコレートでした。
「甘かった……。そして濃かった……。ウイスキーとも相性抜群!善行を積んで食べるバレンタインチョコはうまいぞ……!」
一方で、相手との関係については、あえて踏み込みすぎない距離感を意識してきたといいます。
「見守るというか、あくまで困った時に相談を受けるだけで、わたしから連絡することはほぼなかったので。たまに連絡が来て『人生で初めて体育大会をやった』と書かれているのを見ては、『よかったなぁ』と思っていました。一年半くらい連絡がないこともありましたが、お互い特に気にしてはいなかったと思います」
今回の投稿には、夜間中学校について知る人からの反応も寄せられたそうです。
「夜間中学校について知っている人がリプライしてくれたことが嬉しかったですね。知らない人もたくさんいるとは思うので、これを機に認知度が増えるといいな」