小学生の頃、学校でのいじめが原因で毎日泣きながら帰る日々を送っていたという、LUI/ルイスさん(@luiohkubo)。
いじめられっ子だった自分にお母さまが掛けてくれた言葉で人生が変わったエピソードをInstagramへ投稿したところ、「うちの息子にも同じことを言ったことがあります」「時がきたらミックスの息子にこの言葉を言おうと思います」「僕もハーフだったので同じことがありました」などと同じ境遇の人や国際結婚をされた人から共感の声が集まりました。
小学生時代、容姿を理由に同級生からいじめられていたというルイスさん。ルイスさんは日本とエクアドルにルーツを持つ、所謂「ハーフ」です。
現代では、多様性を肯定的に捉えようとする社会的な動きが見られるものの、ルイスさんが小学生の頃は「容姿に違いがある」ということは同級生との間に大きな溝を生んでいたと言います。
「大人になれば、きっとみんなあなたの魅力に気づく」――母の応援が最大の武器に
「僕も日本人に生まれたかった」と悲しむルイスさんを奮い立たせてくれたのが、お母さまの「大人になればきっとみんな、あなたの魅力に気づく」という言葉でした。
「海外育ちということもありとても優しい母だったので、いつもハグをしてくれたり涙を拭いてくれたりしては、素敵で前向きな言葉を投げかけてくれていました。それでも当時はまだ子どもだったので、いったんは励まされるものの、『どうせ現実は変えられない。一生嫌われ者として生きていくしかないのかも…』と心をすり減らしていましたね」と、ルイスさんは当時を振り返ります。
ただし、「みんなはまだ、あなたの魅力に気づいていないだけよ」と言われた時だけは、なぜか不思議と前向きな気持ちを持てて元気になれたのだと言います。今でもお母さまのこの言葉は鮮明に覚えている…と語る、ルイスさん。
「当時、家族が一番の味方だと思っていた僕は、家族と過ごす時間が何よりの癒しでした。正直、経済的に苦しい面はありましたが、ゲームで遊べずとも、たとえば紙に洋服のデザインを描いたり、服を破いてアレンジしたり、クリエイティブなことに夢中でした。
他にも、ルービックキューブを極めたり、鉄棒やバク転を練習したりしていました。今思えば、きっと同級生に認めてもらいたくて、アピールするために努力していたんだと思います」(ルイスさん)
小学3年生で単身海外へ――留学先で見つけた新しい自分
ルイスさんが日本でなかなか友達のできない状況を見て両親が下した決断は、海外留学でした。「僕が心のどこかで友達を欲しがっていることに両親は気付き、留学させてくれたんだと思います」とルイスさんは言います。
南アメリカへ留学することになった当時、ルイスさんは小学3年生。海外で単身生活することに不安はなかったのでしょうか。
「日本で友達がつくれなかった僕は、『きっと海外でも友達なんて作れない…』と思っていました。さらに、留学先の国の言語(スペイン語)を話せなかったので、とにかく不安でいっぱいでした」(ルイスさん)
しかしいざ、ルイスさんが留学先の学校へ通い始めると、想像していた事態とは全く異なる展開を迎えることになります。
「留学先の学校の同級生は、“日本から来た転校生”として僕を迎え入れ、一気に注目を浴びることになりました。これは本当に意外でした。
日本では同級生から全く相手にされなかった僕の机の周りに、クラスの子がたくさん集まってきたんです。『お昼休みを一緒に過ごそう!』『一緒に遊ぼう!』などと、僕の取り合いをしてくれて(笑)。これまでとの対応の差にびっくりしながらも、無我夢中で遊んでいました。
いつの間にか言語も話せるようになり、友だちも増え、充実した日々を過ごせましたね」(ルイスさん)
その後、ルイスさんは1年ほどで帰国しますが、日本の学校に対してはネガティブなイメージを払しょくできず、小学5年生の間は不登校だったそう。それでも「学校に通ってほしい」と考えていたご両親は、外国籍の生徒が多く在籍する学校を探し、ルイスさん自身も「ここであれば僕をいじめる人はいないだろう」と安心できたため、転校を決断します。
「実際に通ってみたら、やはり外国籍の生徒が多いためか、僕のことを珍しがらず当たり前のように接してくれた印象です。 友達がたくさんできたことが、何よりも嬉しかったですね。
以前、極めていたルービックキューブやバク転などを披露することで、友だちからの注目を集められました。『自分をアピールしたくて必死にやっていたことが活きた!』と実感しましたね」(ルイスさん)
自分らしさを武器にする技――モデルとして輝く現在
「容姿に自信はありませんでしたが、15歳くらいになると『かっこいい』と言われることが増え、気持ちが変わっていきました」と話すルイスさん。「もっと自分をアピールしたい」と考え、某大手芸能事務所のオーディションへ挑戦し、見事合格します。
「夢にも思わなかったことが実現し、さらに自信がつきました。この合格をきっかけに数多くのメディアに出させていただくようになり、ありがたいことに出先で握手を求められたり、写真をお願いされたりと、幼少期には想像もつかなかった未来に驚きでした。
あの時、母が僕に掛けてくれた言葉は本当だったんだな、と今になって思います」(ルイスさん)
以前の芸能事務所を退所し、現在はフリーでモデルとして活動するルイスさん。いじめられていた経験から「すごい!と人に認められたい」という気持ちが強く、何事も極めたり、諦めず励んだりすることが苦じゃなかったのは強みになったと言います。
「いま、自分が好きなファッション関連の仕事をできているのは、ずっと支えてくれた母はもちろん家族、そして自身の悔しさがつくり上げた“強さ”のおかげでもあるのだと実感しています」(ルイスさん)
コンプレックスを乗り越えて強さに変えた彼の姿に、勇気をもらえる人も多いでしょう。