tl_bnr_land

すねを骨折し2週間入院した38歳会社員 医療費総額80万円、24万円の支払いに不安 自己負担額を抑えるには【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

38歳・会社員の岩谷さん(仮名)は昨年、階段から転落しすねの骨を骨折。手術や入院を経験しました。それまで大きな病気やけがをしたことがなく、入院も初めての経験。突然のけがから救急搬送され、そのまま手術となり、2週間の入院となりました。退院時、医療費の総額は約80万円で、3割負担として24万円の支払が必要と告げられたのです。貯金はあるものの、一度にこれだけの出費をすることへの不安が湧きあがりました。

しかし、病院の窓口で、医療費が高額になった場合に自己負担額を軽減する「高額療養費制度」という仕組みがあることを初めて知り、公的医療保険の手厚さを実感することになったのです。

がん治療や突然の入院など、誰にでも起こりうる高額医療費の負担を大幅に軽減できる高額療養費制度について、自己負担上限額の仕組みから、窓口での支払いを抑える最新の手続きまで、知っておくべきポイントを見ていきましょう。

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、1カ月(同じ月の1日から末日)の病院などでの窓口負担額が自己負担限度額を超えたときに、その超えた金額が公的医療保険から支給される制度です。ただし、差額ベッド代や入院時の食事代、先進医療にかかる費用などは対象外となります。

自己負担限度額は所得に応じて5段階

70歳未満の人の自己負担限度額は、年収に応じて5段階に区分されています。例えば、年収約370万円~770万円の人に、100万円の医療費(3割負担で30万円)がかかった場合、自己負担限度額は8万100円+(医療費100万円-26万7000円)×1%=約8万7430円となり、約21万2570円が払い戻されます。

70歳以上の人は、外来のみの医療費は個人単位、外来と入院を合わせた医療費は世帯単位で自己負担限度額が計算されます。所得区分に応じた上限額が設定されており、医療利用の状況によって適用される限度額が異なります。

窓口での支払いを最初から抑える方法

かつては「限度額適用認定証」の事前申請が必要でしたが、現在はマイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)の活用により、対応医療機関では事前の書類申請なしで窓口での支払いを限度額までに抑えることができます。

マイナ保険証を利用する場合、医療機関の受付にある顔認証付きカードリーダーで「限度額情報の提供」に同意するだけで、自動的に支払いが自己負担限度額までとなります。マイナ保険証を持っていない場合は、加入している保険者に「限度額適用認定証」の交付を申請し、医療機関の窓口に提示することで同様の対応が受けられます。

さらに負担を軽減する3つの特例

▽1.世帯合算
同じ医療保険に加入している家族の医療費を合算できます。70歳未満の人は、1つの医療機関での1カ月の自己負担額が2万1000円以上のものが合算対象です。

▽2.多数回該当
70歳未満で過去12カ月以内に3回以上高額療養費の対象になった場合、4回目以降は自己負担限度額がさらに引き下げられます。例えば年収約370万円~770万円の人なら、通常8万100円+(医療費-26万7000円)×1%の自己負担限度額が、多数回該当で4万4400円に引き下げられます

▽3.高額医療・高額介護合算療養費制度
医療保険と介護保険の両方を利用している世帯では、年間の自己負担額を合算し、基準額を超えた分が払い戻されます。

申請のタイミングと注意点

通院・入院した月の翌月から2年以内であれば高額療養費を請求できます。多くの健康保険組合では、該当者に自動的に申請書を送付していますが、一度、ご加入の健康保険組合に確認しておくことが良いでしょう。

マイナ保険証を利用し、限度額情報の提供に同意した場合は、原則として事前申請は不要ですが、医療機関が未対応の場合や、月をまたぐ入院、世帯合算・多数回該当などのケースでは、後日申請が必要になることがあります。

また、払い戻しまで数カ月かかるため、一時的な資金が必要な場合は高額医療費貸付制度(高額療養費支給見込額の8~9割を無利息で貸付)の利用も検討しましょう。

注意点として、高額療養費は暦月(1日~末日の1カ月単位)ごとに計算されるため、月をまたぐ入院の場合はトータルの負担が増える可能性があります。

   ◇   ◇

岩谷さんの場合、医療費総額80万円に対し、3割負担で24万円を窓口で支払う計算になるはずでした。しかし高額療養費制度により、実際の自己負担限度額は約8万7000円。さらに岩谷さんはマイナ保険証を使用していたため、通常必要となる限度額適用認定証の事前申請をしていなくても、病院の窓口では自動的に限度額までの支払いで済みました。

「24万円を用意しなければと焦っていたのに、実際に支払ったのは約10万円(医療費自己負担額+食事代)。マイナ保険証のおかげで手続きの手間もなく、本当に助かりました」と岩谷さんは振り返ります。初めての入院で不安だらけだった岩谷さんにとって、高額療養費制度は予想外の出費から家計を守る大きな支えとなりました。公的医療保険の仕組みを知ることの大切さを、身をもって実感した経験だったといいます。

高額療養費制度は、突然の病気やケガで医療費が高額になっても、所得に応じた自己負担限度額を超えた分が払い戻される心強い制度です。いざというときに慌てないよう、ご自身の加入している医療保険の窓口や申請方法を確認しておきましょう。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)
社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。    

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース