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舞台は京都、日本の暗部描いた英国作家の長編小説を日本語訳 病魔乗り越え40年越しの約束果たす

京都新聞社 京都新聞社

 京都府京丹後市弥栄町の翻訳家・作家の横島昇さん(72)が、英国作家のフランシス・キングさん(1923~2011年)の長編小説「ザ・カスタム・ハウス」を翻訳し、出版した。京都を舞台に原爆症など日本の暗部を描いた代表作という。翻訳開始から40年近くたち、横島さんが病魔と闘いながら仕上げた労作でもある。

 キングさんはオクスフォード大で古典学を専攻し、学生時代に文壇にデビューした。59~63年まで英国の国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」の京都支部長として京都市に滞在し、日本を舞台にした小説を発表。英国ペンクラブ会長も務めた。

 横島さんは京都外国語大大学院を修了。宮津市の灯籠(ろう)流しについて書いたキングさんの作品を読み、「郷里の丹後を書いた美しい恋愛小説に感動した」と魅せられた。

 横島さんは28歳の時に腫瘍が見つかったため手術し、「生きた証しを残したい」とキングさんの翻訳を手がけるように。84年の来日の際、直接会って翻訳の約束をしたのが「ザ・カスタム・ハウス」だった。

 作品には、日本人の実業家兼現代美術作家や被爆した女性、外国人の大学教授、宣教師らが登場する。東京で実際に起き、神父が容疑者として浮上した「スチュワーデス殺人事件」(59年)を下敷きに、被差別部落問題なども盛り込み、さまざまな事件が起きる。

 横島さんは87年に翻訳を始め、91年にできあがったが、キングさんの意図や細部が分からず、自叙伝を読むなどして研究を続けた。

 当初は出版先が見つからなかったが、昨年5月にがんが再発したことで、「努力を無駄にしたくない」と、東京の出版社「未知谷」にかけ合い、刊行にこぎ着けた。

 キングさんの著作の翻訳出版は5冊目となる横島さん。「書斎の隣に布団を敷き、苦しくなったら寝ながら校正作業を進めた。日本をアイロニー(皮肉)に満ちて描いた喜劇。最後までくすくす笑って読んでもらえたら成功」と話す。

 解説も含めて664ページ。6600円。

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