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「私ばっかり頑張ってる」と思ってしまうのはなぜ? 共働き30代母が抱える悩み “ストレス過多の危険サイン”と抜け出し方【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

30代、女性の高橋さん(仮名)は、同い年の夫と小学生のお子さん2人の4人家族。共働きで、夫婦ともフルタイムでの勤務をしています。夫と2人で家事や子育てでも協力して分担していますが、いつも何だか「私だけ頑張っている!」と思い込んでしまうと悩んでいます。夫や職場の仲間に「私だけが頑張っている気がする…」と愚痴をこぼすのですが、どこかすっきりしないといいます。

実際は家族や周囲のサポートもあるのに、「私ばっかり…」と思ってしまう。それは実は、「我慢強い」からでも「要領が悪い」からでもありません。心理学的に、過度なストレス状態による危険信号なのです。

“頑張りすぎ”が生む負のスパイラル

人は自分の「努力・時間(投入量)」と、それに対する「対価・評価・感情(報酬)」のバランスが崩れた時に、強烈な不快感を覚えます。「私ばっかり!」という感情は、まさにこのバランスが崩れた状態で、これを放置することで負のスパイラルに陥ります。

①視野・認知の狭窄と疲労
ストレスが過度になると、視野や認知が狭くなり「自分でやったほうが早い」と思い込み、誰かを頼るとか何かのリソースを使うなどの発想が持てなくなります。結果的に、慢性的な疲労につながります。

②受動的攻撃性による人間関係の悪化
「受動的攻撃性」とは、相手に対して直接不満を伝えず、不機嫌な態度やため息などの間接的な行動で不満を示し、相手に“察してもらおう”とする態度を指します。特に「自分ばかりが我慢している」と感じやすい状況では、この態度が周囲を萎縮させ、かえって協力が得られにくくなってしまいます。

③自己効力感の低下
協力が得られにくくなると、さらに「頑張っても報われない」という感覚に襲われてしまい、「どうせ変わらない」「私の能力が低いからだ」という「自己効力感の低下」を引き起こし、どんどんストレス過剰な状況になってしまいます。

見えない負担を棚卸しするための「メタ認知」のワーク

最初の一歩は、現在の状況を客観的に捉えるための「メタ認知」を活用することです。特に「名前のない業務」と言われる家事や仕事の雑務などは、周りの人も自分自身も見落としがちです。

とにかくそれを、思いつく限りリストアップし、どう対処すればよいのかを分類していきましょう。具体的には「タスク」「(タスクにかる)作業時間」「(タスクの)負担感(1~5段階)」を書き出し、そのタスクを、引き続き自分でやるのか、家族と分担するのか、あるいは別のツールを使ったり頻度を減らしたりするのか、整理してみましょう。

罪悪感なく人を頼る「アサーション」を用いた交渉術

タスクごとの自分の負担感が理解できたら、今度は、分担を交渉しましょう。ここで大切になるのが、自分の気持ちも相手の気持も尊重する「アサーション」です。

多くの人は、自分自身の負担感が強いと感じていると、相手を責めてしまう「Youメッセージ(あなたが~してくれない)」になりがちです。これを自分の感情と事実を伝える「I(アイ)メッセージ」に変換して交渉することです。

そのために役立つのが「DESC法」と言われる交渉術です。

▼D:Describe(事実を描写する)
「今週、私が3件のプロジェクトと新人教育を兼務している状況で…」

▼E:Express(気持ち・主観を伝える)
「期限に遅れそうですし、正直なところキャパシティを超えていて不安を感じています」

▼S:Specify(具体的な提案をする)
「新人教育の一次チェックを、〇〇さんにお願いできませんか?」

▼C:Choose(選択肢を示す)
「もし難しければ、明日の朝にお願いするか、あるいは納期を1日延ばす相談をさせてください」

自分をいたわる「セルフ・コンパッション」を実践

最後に、整理をして交渉をして生まれた時間は、自分自身のために使って下さい。頑張りすぎる人は「休むこと=サボること」と受け止めがちですが、「自分自身のメンテナンス」と考え、自分自身を親友のように大切に扱う、という意味の「セルフ・コンパッション」を意識してみましょう。

①5分間のマインドフルネス呼吸
四六時中、働きっぱなしの心や精神を、呼吸に意識を向けることで落ち着きを取り戻せます。頭の中で数を数えながら、鼻から4秒吸って口から8秒吐くことを繰り返してみましょう。

②ストレス解消法のレパートリーを増やす
ストレスを感じた時「これをすれば気分が良くなる」という、行動リストを作っておきます。できれば日常的にできるような「特別な香水をつける」「推しの好きな曲をヘッドホンで聴く」「特別なチョコを食べる」などです。

③境界線(バウンダリー)の意識化
「帰宅したら社用メールは見ない」「お風呂に入っている時は母親モードをオフにする」など、物理的・時間的な境界線を意識して設けることで、心のエネルギーの消耗を防ぐことができます。

あなたはもう十分頑張っている

高橋さんも、「負担の棚卸しシート」を作り、勇気を持って旦那様や同僚に、役割分担の依頼をしてみたそうです。そこで生まれたのは「時間の余裕」だけでなく「心の余裕」だとお話してくださいました。「心の余裕」が持てたことで、何となくギクシャクしていた人間関係が解消された、と実感されたようです。

「私ばっかり」と思ってしまうのは、責任感が強く、これまで誰よりも貢献してきた証拠です。しかし、その貢献を持続可能なものにするためには、「手放す勇気と手間」が必要です。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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