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あの長い夜を忘れない…夫の安否分からぬまま息子と過ごした震災初日【漫画】

海川 まこと 海川 まこと

災害はいつ、どこで起こるかわかりません。昨日まで当たり前だと思っていた景色が、一瞬にして変わってしまうことがあります。イラストレーターのアベナオミさんは、東日本大震災当日の体験談『2011年3月11日家族全員がバラバラだった。その時』をX(旧Twitter)に投稿し、話題となっています。

物語は、2011年3月11日14時46分ごろ、作者が車を運転中に大きな揺れを感じたことから始まります。ラジオから流れてきたのは、地震の知らせと「大津波警報」でした。その瞬間、作者は海の近くに職場がある夫の安否を心配します。

信号機は機能せず、家の塀が崩れている光景を目にしながら、なんとか辿り着いた自宅は窓がすべて開きガラスが散乱する無残な状態でした。その後、作者は急いで保育園へ向かい、そこに通っている息子と無事再会します。しかし、沿岸部にいた夫とは連絡がつかないままです。

作者は夫の職場へ向かおうとしますが、結局行く事ができずコンビニでおにぎりと乾電池を購入し帰宅します。家の中は真っ暗で不安な夜を過ごしていましたが、22時ごろ泥だらけの靴を履いた夫が無事帰宅し、作者はようやく安堵できたのでした。

その後、いつでも逃げられるよう服を着たまま布団に入ります。状況を知ろうとつけていたラジオからは、被災地の生々しい情報が流れ、怖くなりラジオを切って就寝したのでした。

この壮絶な体験を綴った同作について、作者のアベナオミさんに話を聞きました。

突然訪れた「あの日」の経験、子どもたちに残したい

ーどうしてこの経験を漫画にしようと思ったのでしょうか?

2016年に防災士の資格を取得以来、全国津々浦々どこへでも防災の講演会に駆けつけました。ただ、防災セミナーに来てくださる人は、そもそも「防災に興味がある人」です。防災の本も何冊か出版していますが、その本も「防災コーナー」に置かれ「防災に興味がある人」しか見に来ません。

防災に関心のない人にも手に取ってもらいたくて、コミックエッセイとして出版させていただきました。もちろん多くの方に読んでほしいという気持ちで描きましたが、一番読んで欲しかったのはうちの子ども達です。

長男は震災当時1歳7か月だったので、当時の記憶はほとんどありません。次男と末っ子の長女は震災後に生まれた世代なので、震災はテレビで見る「昔の大地震」になりがちです。だからこそ「これを読めば当時のことがわかるよ」と言える、震災について時系列で説明された本を作りたかったんです。なので、震災を知らない世代の子ども達も読めるようにセリフには振り仮名もふってもらいました。

ー地震は運転中に起こったとのことですが、職場から息子さんのお迎えに向かわれていたのでしょうか?

被災したのは家から最寄りのガソリンスタンドに向かう途中でした。はじめは横風にハンドルを取られたような感覚になり、周りの車が路肩に停車し始めたので、私も訳が分からず路肩に停車しました。その瞬間、海の方から「ドッカーーーン」と爆発音のような地鳴りが聞こえ、地上にいた鳥という鳥が飛び立ち、爆音の地鳴りとものすごい揺れが襲いました。

目の前の新幹線車両基地の建物はプリンのように揺れ、真横にあった仙台北部道路の高架は、道路の照明や標識がメトロノームのように揺れていました。私は運良く、自宅近くで被災しましたが、もしパートの日で家から離れた職場で被災していたら、もっとお迎えが大変だったと思います。

ー地震直後の判断で、「やっておいて良かったこと」はありましたか?

たまたま車の中で被災したので、すぐにカーラジオで情報収集できたことは良かったです。被災してすぐに停電していたので、情報にアクセスできない人は多かったと思います。ただ、今思い出すと、海の近くの職場にいる夫を迎えに行こうとしたことは本当にNGな行動でした。

実は、私が運転していた車のたった数百メートルのところまで津波が迫っていたんです。大雪のため視界は真っ白で津波は見えませんでしたが、とても危険な行動だったと思います。今では、大きな災害が起きたときは各自が命を守る行動をして自宅に集合するというルールにしています。

ー被災後の生活で、私たちが備えておくべきことは何でしょうか?

被災後の生活は、ほとんどが防災対策(備蓄)をすることで対応できますが、困ったのは「トイレ」です。衣食住は正直なところ工夫とアイディアでどうにか乗り越えられましたが、トイレだけは自分たちの力だけではどうにもできません。

避難所のトイレも、多くの人が利用するのでゆっくりできませんし、行きたい時にすぐに行けない状況です。空腹は数日我慢できるけど、トイレは数時間しか我慢できない。防災対策は何からすればいいのか分からない人はぜひトイレの備えからしてほしいです。

<アベナオミさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/abe_naomi_
▽ブログ『うさぎとお絵描き』
https://illustrator-abe-naomi.blog.jp/
▽書籍「今日、地震がおきたら」(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4046852232

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