少子化の進行が止まらない中、2026年は干支で60年に一度巡ってくる「丙午(ひのえうま)」の年にあたります。前回の1966年(昭和41年)には、「この年に生まれた女性は気性が激しい」などの迷信が広まり、出生数が前年比で約25%も激減したという丙午ですが、令和の子育て世代はどのように捉えているのでしょうか。株式会社ベビーカレンダー(東京都渋谷区)が実施した「妊娠・出産への意識調査」によると、7割強が「迷信は気にせず、自分たちの計画やタイミングを優先したい(優先した)」と回答したことがわかりました。
調査は、同社が企画・運営しているサービスを利用した妊娠中・育児中の20〜40代女性935人を対象として、2025年12月にインターネットで実施されました。
厚生労働省の人口動態統計速報によると、2025年の出生数は66万7542人程度(前年比約2.7%減)になる見通しです。これにより、日本の出生数は2年連続で70万人を割ることとなり、統計開始以来の過去最少を更新する深刻な状況が続いています。
そこで、妊娠中・育児中のママに「2026年の丙午の出産についての考え」を尋ねたところ、「迷信は気にせず、自分たちの計画やタイミングを優先したい(優先した)」(76.2%)がダントツとなり、「メリットも考えられるので、あえて選びたい(選んだ)」(5.2%)を合わせると、約8割が丙午を理由に出産を避けない判断をしており、自分たちの生活設計やタイミングを重視して判断している実態が明らかになりました。
一方で、丙午の迷信について、家族や周囲の人から「2026年の出産は避けたほうがいい・女の子だと大変といった言葉をかけられた経験」については、12.4%が「ある」と回答。
実際に言葉をかけてきた相手は、「実母」(49.1%)、「祖父母」(23.3%)、「親戚」(16.4%)など、親・祖父母世代が多くを占めており、丙午に対するネガティブなイメージは、子育て世代よりも上の世代に強く残っている様子がうかがえます。
また、2026年が60年に一度の「丙午」であることや、迷信について知っているか聞いたところ、「よく知っている」は31.2%、「なんとなく聞いたことはある」は49.0%と、約8割が認知していました。
その上で、「丙午生まれの女性に対するイメージや迷信への認識」について調べたところ、「ただの迷信なので、気にする必要はない」(44.7%)が最多となったほか、「芯が強く、自立したしっかり者」(30.2%)、「エネルギッシュで、リーダーシップがある」(25.6%)といったポジティブイメージが「気性が激しくて怖い」(20.4%)や「縁起が悪く、苦労しそう」(6.4%)などのネガティブイメージを大きく上回る結果となりました。
2026年の出生動向に「丙午」の影響はあるのか?専門家の見通しは…
これらの調査結果および今後の出生動向について、人口問題や地方創生に詳しい株式会社日本総合研究所調査部の主席研究員・藤波匠氏は「前回の丙午の親世代は平均25〜26歳と若く、迷信を理由に『1年待つ』余地があった。しかし、現在の親世代は平均30歳前後。妊孕性(妊娠するための力)や年齢リスクを強く意識する世代にとって、迷信のために妊娠・出産を1年先送りするような時間的な猶予はない、というのが現実。そのため、今回の丙午では産み控えをする人は少ないと考えられる」とコメント。
さらに、足元の2025年の出生動向については、現在の婚姻数は一時的に下げ止まり、ほぼ横ばいで推移しており、こうした時期に結婚した夫婦が、結婚から第1子出産までの平均期間である約2.8年を経て、2025年後半から2026年にかけて出産期を迎える点に注目します。
一方、調査では「最初に妊娠・出産を決めるにあたり、最も不安に感じたこと」として、「金銭面」(32.0%)や「自身の年齢や体力」(24.8%)、「仕事やキャリア」(10.5%)といった経済や生活設計に関わる不安が上位を占めていることから藤波氏は、「景気の先行きが不透明になると、『今の生活を維持できるか』『片方が働けなくなったらどうするか』という不安に直結しやすく、結果として妊娠・出産に踏み切れなくなる傾向が強まっている」と指摘。
そのうえで「少子化を進めているのは、経済不安と将来設計の難しさにある。迷信のような一時的な要因よりも、日々の暮らしや将来の見通しが立てにくいことこそが、妊娠・出産の大きな壁になっている」と述べています。
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【出典】
▽株式会社ベビーカレンダー