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国の放送で起こされ働く郵便配達員1871号 荒廃した世界で賞味期限付きの手紙を配達…だが最後に「1人分がない」ことが判明、果たしてどこへ【漫画】

海川 まこと 海川 まこと

『手紙』は世界を越えさまざまな形に変わっても、想いをつなぐ大切なものです。漫画家・南賀なんさんの作品『999号室』では、異形がうごめく荒廃した世界の郵便配達員が描かれています。同作はX(旧Twitter)に投稿され、約6.7万いいねを集めた注目作品です。

国からの労働をうながす放送で目覚めた主人公・1871号。彼は労働で人民券を得るために、逓信所飛脚業代員(郵便配達員)として働いています。仕事に向かう途中、彼は犬の「とと」に自身の食糧である缶詰を与えました。

仕事の窓口に向かった彼は、窓口の閉まったシャッターへ勤務開始の報告をおこないます。すると、窓口の小窓からは「毎日同じこと言うな、分かってんだよ」と言ったそばから、「毎回ちゃんと言えよ、規律だろうが!!!!」と支離滅裂な指示が飛び出すのでした。

その後ようやく仕事が渡されると、1871号は秤で手紙の『賞味期限』を調べながら、手紙を届ける目的地の住居へ向かいます。

最初の届け先は手がたくさんある女性。1871号は驚きますが、女性は何事もない様子で手紙を受け取ります。その後も順調に不思議な住民たちに手紙を届けていき、ついに最後の手紙となりました。目的地の住宅にいた10人が結合した人々は、手紙を待ちすぎて感情が抑えられない様子です。

彼らをたしなめつつなんとか全員に手紙を渡せたと思った矢先、1人の手紙の紛失が発覚します。すると手紙を貰えなかった住民は、感情が爆発して1871号に襲いかかるのでした。危機に瀕した1871号ですが、突如現われた「とと」に助けられ、浄水槽に逃げ延びます。

分解虫と呼ばれる生き物がうごめく浄水槽で服を乾かしたあと、1871号は手紙を渡せなかった住民のために、手紙探しへと出発します。

その後、再び現れたととの案内で、1871号はついに電線に引っかかっていた手紙を発見しました。そして手紙を住民に渡すと、「ありがとう。年に一度送られてくる妻と…娘の写真だ」と泣きながら住居へと戻っていきました。

今日も人民券をもらい食糧を得た1871号は、「相棒になってくれ」とととに打診しましたが、興味がなさけな顔で拒絶されてしまいます。そして国からの放送をもって、一日を無事終えたのでした。

同作に対しSNS上では「世界観がまったくわからないのにすごく引き込まれた」「恐ろしいのにどこかあったかい」など、その雰囲気に圧倒される声が相次いでいます。そこで作者の南賀なんさんに、細部にまでこだわった世界観を聞きました。

さまざまな部分にこだわりが…作者の長編インタビュー

―第1話、大反響ですね。描き終えた際のお気持ちと反響を受けてのお気持ちをお聞かせください。

喜びというよりはまずは安心、そのあと責任と重圧が押し寄せたようなかたちでした。

 ―各誌で読切を執筆されておりましたが、スピリッツで初連載作品を描くに至った経緯は?

一昨年(2024年)の10月ごろに現担当編集から連載企画の打診を受けまして、そこで思いついた企画が『999号室』でした。以前と比較しても精神的に一番自由に描くことができたのが功を奏し、スラスラとアイデアが出たので素早く事を進められました。

―同作で特に大切にされたテーマや伝えたかった思いがあれば教えてください。

それはおそらくこれから連載全体をかけてしっかり描かれていくかと思います。

ぜひ連載を追って頂ければ幸いです。

―『雀牌』『分解虫』『手紙の賞味期限』など、独特の世界観にまつわる表現やビジュアルはどのように生まれるのでしょうか。

手紙の賞味期限のほうで言えば、自分の中でかなり妥当性があって生まれたアイデアです。雀牌は素直に面白いだろうと思って描いてみたら、意外と周囲からは「なんだコレ!?」という評価になったな、という...

分解虫は、ネームではチャーミングなお口だったのですが、いざ原稿で描くにあたってふと「バッカルコーンした方が面白いのでは!?」と思いついてしまったのが運の尽きでしたね。でもよりチャーミングになったと思います。

細部にちゃんと設定のあるデザインというのは考えるのも面白く、読み手にとっては頓珍漢で愉快なビジュアルがたくさん見れて楽しいという、WIN-WINだと思いますね。

主人公の鞄も、とある思い入れのある生き物がモチーフになっているのですが...それはまたもうしばらくのちに語ろうかと。

ーマンションの住人も特徴的ですが、10の顔を持つ彼がとても印象的でした。

担当氏は彼らのことをいつの間にやら「ズモモ」と呼称していましたね。由来は初登場時の効果音のようです。かわいいので打ち合わせでもアシスタントさんの間でも定着し、最終的に『999号室』スタッフは全員彼らのことを「ズモモ」と呼んでいます。

10人全員の名前はとある有名で長い人名のアナグラムで出来ているという小ネタがあったのですが...なんと一人名前を間違えていました。単行本ではその辺りの修正と解説が入ると思われます。誰が由来か、どこが間違っているか、分かりますでしょうか?

―これほどの密度、作画に要した時間は?

アシスタントさん数人にお手伝いして頂きながら4ヶ月ほどだったと思います。

―ネット上では「BLAME!」や「人喰いマンションと大家のメゾン」に影響を受けているのではと噂になっていますが、実際のところはいかがですか?

「人喰いマンションと大家のメゾン」は原稿を書いている最中に始まったので、最初からカブりを気にして一切見ない様にしており、「BLAME!」「アライさんマンション」は指摘されて初めて作品の存在を知りました。曰く似ている(?)とのことなので影響を避けるために今後も上3作品を読むことはないです。

―では影響を受けた漫画家さんはいらっしゃいますか?

作画は浦沢直樹先生と浅野いにお先生に影響を受けています。特にカラーページの紫の影は浦沢先生がよくカラーを描かれる時に使われていて...とても印象的で好きだったので真似をしてみました。が、やはりあそこまでの妖艶な紫は出なかったですね。まだまだです。

―そういえばカラーページ全てに模様のようなものが描かれていますね。

そうですね。せっかくなので自分で色々と遊んでみました。

―中でも7P目にはとても意味深な文字が・・・もしかして10人の名前のように、

何か秘密が隠されているのでしょうか。

どうでしょうか。是非解読できた方がいらっしゃったら教えて頂きたいですね。

<南賀なんさん関連情報>
▽ビッコミ『999号室』の連載はこちら
https://bigcomics.jp/episodes/c76f20432cb73
▽X(旧Twitter)
https://x.com/LonewolfN

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