昨今では宅配物の置き配が珍しくない状況ですが、それに伴って誤配のトラブルが多発しているようです。会社員のAさん(40代)も誤配によるトラブルに巻き込まれた1人でした。ある日、Aさんが自宅で夕飯の支度をしていると、突然「ピンポーン!」とインターホンが鳴ります。
来客の予定はなく不思議に思いながらも玄関に向かうと、そこには誰も居らずドアの前に段ボール箱が1つ置かれているだけでした。
Aさんは先日ネット通販で購入した食品が置き配で届いたと思い、この段ボールを室内に運ぶと、さっそくハサミで封を切ります。しかし段ボールの中から出てきたのは、食品ではなく洋服でした。宛先には、隣の棟の住人の名前が書かれており、Aさんは一気に血の気が引きます。
翌朝、段ボールを持って管理人室を訪れ、事情を説明しました。すると管理人から「たとえ故意でなくても、誤って荷物を開けるとトラブルになる可能性があります」と伝えられます。その言葉を聞き、Aさんは初めて事の重大さに気づきました。
こうした「取り間違い」や「誤開封」は、法律上どこからが犯罪になるのでしょうか。アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に話を聞きました。
置き配トラブルを防ぐ、正しい対応とは?
ー誤って配送された荷物を気づかずに開封した場合、法律上の責任はどこまで発生しますか?
誤配された荷物と気付かずに開封してしまっただけでは、特に罪を問われることはありません。住人間で誤って開封してしまったことを謝罪し、荷物を返還するというのが代表的な解決方法といえます。
ただ例えば中身が食品であり、誤配と気付かずにそれを食べてしまった場合、誤配をおこなった配送業者が民事上の損害賠償を請求される可能性があります。この場合は、食べてしまった本人ではなく誤配をした配送業者に責任があるという認識です。
一方で誤配された荷物だと気付いたうえで開封してしまった場合は、開封した本人の責任が問われることになります。この場合は損害賠償だけでなく、器物損壊罪や遺失物横領罪に問われる可能性があります。
ー自分宛ての荷物が隣の家に届いた場合、お隣さんの敷地内に入って取りに行くと犯罪になることはありますか?
置き配に関して犯罪として摘発されているのは、基本的に置き配の荷物を盗んだというケースです。自分宛ての荷物だったとしても、隣の一軒家に誤配達されたものを取るために勝手に敷地内に入れば住居侵入罪になりえます。
マンションのお隣さんに配達されてしまい、お隣さんの管理下にある荷物を勝手に持って行けば窃盗罪になる可能性があります。
ー自分の家に誤った荷物が届いたときの正しい対応を教えてください。
誤配送の荷物を受け取ったときは、勝手に処分してはいけません。開封したかどうかにかかわらず、まずは配送業者に連絡をしましょう。
Amazonの場合はカスタマーサービスへ、ヤマト運輸の場合はサービスセンターへ連絡して、指示をあおいだり、荷物を回収してもらうのがよいでしょう。
日本郵便の場合は、開封後に誤配送に気付いたときは、テープ等で補修をし、必要事項を記載の上、最寄りの郵便局に持ちこんだりポスト投函するか、お客様サービスセンターへ連絡をする必要があります。
もし配送業者がわからないときは、送り状に記載された送り主に連絡を、誰にも連絡がとれないなど対応に困った場合には、警察に遺失物として届け出ましょう。
ー置き配トラブルを防ぐために、利用者が知っておくべき注意点や心がけはありますか?
置き配の場合、指定場所に配達するまでが配送業者や送り主の責任であり、配達後に発生したトラブルは基本的に自己責任になります。破損や汚れ、盗難、個人情報漏洩防止等トラブル防止のために頑丈な宅配ボックスや宅配ロッカー、防犯カメラなどを活用するとよいでしょう。
それでも誤配送されてしまうことも珍しいことではないので、荷物の回収時には住所・氏名をよく確認するくせをつけることも大切です。
置き配トラブルが起きた際に補償を行っている送り主や配送業者もあるので、利用前に確認してみましょう。
◆アディーレ法律事務所・正木裕美弁護士(愛知県弁護士会所属) 一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。
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