2社の不要品回収業者に見積もりをお願いしたら、1社は8万8000円、もう1社は3万円。当然、安い方にお願いしたら、当日に追加料金が発生して36万円に。なぜ、そんな事態に…そして、その後は?
滋賀県を中心に、京都、大阪、三重、岐阜などで不用品の回収・買い取りを行う『Life goes on』代表の中澤さんがThreadsなどSNSで注意喚起。「必ず複数の不用品回収会社から見積もりを取って!!作業料金の内訳を把握して!」と訴えたのが話題になりました。
不用品回収について不慣れな人も多く、足もとを見られる場合や、訳がわからないまま相手のペースに乗せられてしまうケースも少なくありません。そこで、利用者が注意すべき点、見積もりに含まれる費用明細の見方などを、中澤さんに教えていただきました。
最初の約束と違い、12倍もの高額請求
見積もりを依頼された客に、8万8000円を提示したのは中澤さんの会社でした。
「ファミリータイプの家電、家具が大半でした。スタッフの人件費、ガソリン代、実際の作業量などに、利益を含めたら、8万8000円がギリギリ。それより安い金額にするとボランティアになる、と思ったのです」
その金額に対し、依頼主は「高い!もっと安くできる会社があるから、そちらに頼む。2万円でやってくれるなら、頼むけど」と返答。というのも他社が出した見積もりが3万円だったからでした。
「『家具や家電、布団などこんなに大量に不用品があるのに、無理ですよ。安すぎるのはおかしいです』と伝えましたが、同業者に横槍を入れる怪しいヤツという目で見られ、退散するしかありませんでした」
そのまま客は他社に依頼。しかし、突然の連絡が……。
「3万円と言っていたのに、実際は36万円だった!やっぱり、お宅に頼みたい。明日引っ越しやから、今から来て」と慌てふためいた様子。
しかし、既に別件で空きがないため、対応できないことを伝えました。「明日には退去しないといけないから、仕方ないけど36万円払う」とあきらめたそうです。
その事例を紹介した投稿には、「同業ですが、そのパターンよく聞きます」「相手の日程に余裕がないことを見越して、或いは余裕がなくなる日程をわざと組んで、当日に値段をあげる手法らしい」など裏事情を明かす同業者も。
中澤さんは、「同じような被害に遭われた方が何人かいたことが衝撃でした」と言いますが、利用者として似たような経験をした人からの「うちもカモられましたが、消費者センターに連絡しますと言ったら急に返金されました」の声もありました。
無駄な出費を抑えるためにも、相見積もりを
「安すぎることには裏があります。面倒かもしれませんが、複数の不用品回収業者から見積もりを取ってください」と中澤さん。
不用品回収業界全体での基準額というものはなく、各事業主によって料金は変動。ただ、比較することで、おおよその相場がわかり、検討しやすくなります。
不用品回収業者を探す際にネット検索して、上位に出てきたものを選ぶときも注意が必要だそう。
「広告費を投入して、『スポンサー』として上位に出てくるようにしている可能性もあります。その広告費は、利用者が払うお金から出ているので、費用が高額になってしまうことも」
また、公式サイトだけでなく、もうひとつ重要なチェックが……。
「口コミを見て事前に調べられる情報は調べた上で依頼していただきたいです。評価が高い口コミではなく、悪い評価を見てください。当日値段を釣り上げられた等のコメントがあれば気を付けた方が良いです」
不用品回収費の見積もりで気をつけたいのは?
見積もりを取る際は、どんなモノがどのぐらいの量あるのか、トラックに運び入れるまでの動線なども把握できる現地訪問を推奨。
「電話やメールでの概算見積もりの場合、当日に値段を大幅に釣り上げられる可能性が高いです」
見積もり書を出さない業者にも注意が必要で、見積もり金額を記さずに安い金額で口約束をして、回収当日に高額請求する手口も多発。中澤さん自身、「その手法で、被害に遭われたお客様に、何回も会っています」。
提示された見積もり書で注目すべきは作業料金。HP上では階段下ろし1階/1000円、エアコン取り外し無料と記載があるものの、実際の見積もり書では高額な値段になっている場合も。
「見積もり書の明細に不審を抱いたら、見積もり書にはサインせずお引き取り願ってください。サインすれば後々トラブルになる可能性があります」
見積もりのために業者が訪問する時は、依頼者ひとりではなく、複数人での対応がベター。威圧的にサインをするよう促す業者にけしかけられ、早く帰ってほしいからサインして高額請求されるケースも。
「女性が一人で対応する時は特に注意が必要です。玄関ドアを開放する、女性スタッフに見積もりに来てもらうなどしてほしい。可能なら、必ず家族や知人に同席してもらってください」
悪徳業者によって、客にさらに負担が!?
回収した不用品を廃棄する場合もお金はかかりますが、適切に廃棄せず、山に不法投棄を行う悪質な業者も。
「いちばん酷いと感じたのは、団地で不用品を回収して目の前の公園に全て投げ捨てた業者です。回収後、一切連絡取れなくなって、結局お客様が不法投棄したことに。困り果てたお客様から、弊社に依頼があって回収しました」
特に年末年始は特別料金として、最初から高額請求する業者もいるのも注意が必要だそう。
「1社との交渉で納得せず、面倒がらずに必ず相見積もりを取りましょう!見積もりは30分以内で終わります。相見積もりを取れば、逆に高く請求され過ぎていた20万円が5万円に下がるなんてこともよくあります。無駄な出費を抑えるためにも悪質な業者に騙されないためにも必ず相見積もり取ってください」
◇ ◇
独立行政法人 国民生活センターにも、不要品回収についてのトラブルが寄せられ、以下のような事例も。
・事前の説明と異なる高額な料金を請求され、納得できないなら不用品をすべて下ろすと言われた
・トラック詰め放題の広告を見て依頼したら、当日荷台の囲いの高さまでしか載せられないと言われ、断るとキャンセル料を請求された
・不用品の量は軽トラック1台分に満たなかったが2台分を請求され、高額で支払えないと言うと、銀行で現金をおろすように言われた
そのため、「事前の見積もりの料金とは異なる高額料金を請求された場合は、作業前にきっぱりと断りましょう」「トラブルになった場合は、188(消費者ホットライン)に相談しましょう」と注意喚起しています。
また、今回のような不要品回収についてのトラブルなど、日々の業務で感じたことを中澤さんはThreadsで投稿。またハチマルラジオの名称で、YouTubeやXでも発信。年末の大掃除や実家の片付け、遺品整理などで悩んだ際は、どういった点に注意すればよいのかといったときのご参考に。
■YouTubeチャンネル ハチマルラジオ @hachimaruradio
■ハチマルラジオ X @hachimaruradio
■Threads @masick.91
■Life goes on HP https://www.lifegoseon-shiga.com
■独立行政法人国民生活センター https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20221102_1_lf.pdf