伝えたかったのは…「病院内には不用意に立ち入らないで」ということ
今回の「埼玉県小児医療センター」や「さいたま赤十字病院」内に侵入した人物については、当該人物が特定のコンテンツのグッズを所持していたため、そのコンテンツやファンを批判したり、当該人物を特定しようとする動きもあった。
だが、「投稿の意図はそこではないんです」と、蒼衣さんは訴える。
「私自身も好きな作品があるオタクの1人です。自分の好きなコンテンツが非難されるのは不快だと思います。そもそも今回のケースはあくまでも、病院がどんな場所であるかを知らないという、『知識や情報の欠如』が問題だと思っています。
どの作品のファンであれ、どんなイベントの参加者であれ、小児病院や救急病院がどんな場所なのか?を知ることで、治療やお見舞いなどの本来の目的以外で病院には立ち入らない!ということを理解していただくことが、今回私が注意喚起の投稿をしたいちばんの目的です。どうかそこは誤解のないようにしていただきたいです」(蒼衣海子さん)
会場側と主催側は、「警備と注意喚起の強化」を
また、ネット上では病院側に「警備の強化」を求める声も多く見受けられた。
「警備の強化には当然お金がかかります。『埼玉県小児医療センター』は県立の病院です。研究費などには公費(税金)が、病院の経営には当然ながら患者の家族が支払う多額の治療費が使われています。イベントがある度にそんなことをしていたら、病院側の予算に膨大な負担がかかります。
イベント参加者による迷惑行為などについては、すでに会場側や主催側から注意喚起等がされているようですが、警備や注意喚起の強化などについては、集客で収益を得ている会場側や主催者側に責任があると思います。病院や患者家族の負担を増やすようなことは求めないでほしいです」と、蒼衣さん。
「今回の件に関して、不法侵入に当たるとか、場合によっては捜査や立件の対象になるといった論調も見受けられましたが、何の罪になるかと脅すのでなく、なぜ不用意に病院に侵入することがダメなのか?を広く知ってもらうことが重要なんです。
大事なのは、今現在、治療をがんばっている子どもたちや患者さんたちの命と安全を守るために必要なことは何なのか?をいちばんに考えていただくことです。そして、治療やお見舞い、業務上で必要な場合など以外の<病院に入る正当な理由がない>一般の方には、医療センターや近隣の病院に足を踏み入れないでくださるよう、切にお願いしたいです」(蒼衣海子さん)
実は全国の「大型施設」近隣でも起きている問題
大型施設に隣接する「病院」への不適切な侵入などについては、今回問題視されたライブイベントに限らず、スポーツイベント、飲食系イベントなどの開催時にも発生している。
また、こういった問題は「さいたまスーパーアリーナ」だけでなく、「東京ビッグサイト」や「京セラドーム大阪」などの近隣でも起きているという。
実際、「スタジアムが近くにある病院、試合のたびに観客が駐車場を占拠したり病院に立ち入るようになったせいで、試合日は警備員さんが全員に病院に用がある人かどうか入り口で確認しないといけなくなったんですよ」といった声も寄せられた。
なお、「さいたまスーパーアリーナ」ではイベント当日の女性トイレの混雑について、「時間に余裕をもって行動するように」という注意喚起のメッセージを公式サイトに掲載。
また、イベント参加の際の食事、休憩などについては、隣接する商業エリア「けやきひろば」の利用を推奨している。