日本国内でも屈指の注目を集める東京都中央区の湾岸エリア。そんな湾岸エリアでは同じマンション、同じ階数であっても、見える景色が異なれば坪単価に差が生じることがあるといいます。マンションリサーチ株式会社(東京都千代田区)が運営し、市場動向など不動産情報を発信している『福嶋総研』が実施した調査によると、中央区湾岸のタワーマンションにおける価格は、レインボーブリッジを臨む「南西方向」が最も高値であることがわかりました。
調査は、「ザ・東京タワーズ シータワー」「ザ・東京タワーズ ミッドタワー」「勝どきザタワー」「パークタワー勝どきサウス」を対象として、各方角ごとの成約予測坪単価を時系列で散布図化し、そこから近似曲線を描くことで価格水準を比較したといいます。
▽ザ・東京タワーズ(シータワー/ミッドタワー)
総戸数約2800戸、日本最大級のツインタワーマンションとして2008年に誕生した「ザ・東京タワーズ」。湾岸エリアのランドマーク的存在であり、現在も人気は高いままです。
調査結果では、レインボーブリッジを正面に望むことができ、夜景や開放感の面で圧倒的な価値がある「南西方向」が最も高く、次いで東京湾の水平線まで見渡せる景観が魅力の「南東方向」が高値を示し、レインボーブリッジビューと東京湾ビューが価格形成に直結していることがわかりました。
▽勝どきザタワー
2016年竣工、総戸数1420戸。湾岸の中でも特に資産性の高いマンションと評価されています。
分析の結果、レインボーブリッジビューであり、湾岸ならではの眺望資産として評価が高い「南西方向」が最も高く、次いで浜離宮恩賜庭園と都心の高層ビル群を一望できる点が大きな魅力の「北西方向」が高いという傾向が見られます。また、湾岸ビューだけでなく「緑と都市景観」を組み合わせた眺望も評価されていることが特徴となっています。
▽パークタワー勝どきサウス
2023年竣工、総戸数1665戸。最新の設備や共用施設を持つ新世代のランドマークタワーです。
結果は、やはりレインボーブリッジを臨む「南西」が最も高く、次いで日当たりが良好で、レインボーブリッジの一部を視認できる住戸もある「南」、東京湾の広がりを享受できる「南東」がほぼ同等という傾向が見られ、最新マンションでも「レインボーブリッジビュー+抜け感」が価格を左右する軸であることが確認できました。
これらの調査結果を踏まえて、中央区湾岸のタワーマンションにおける価格形成には、「南西方向=最も高値(レインボーブリッジビューは唯一無二の資産)」「南・南東方向=高水準(東京湾の開放感と日照条件が評価される)」「北西方向=一部物件で高評価(勝どきザタワーのように、浜離宮+都心摩天楼の組み合わせは例外的な人気)「北・西方向=相対的に低め(建物に視界を遮られることが多く、価格プレミアムは限定的)」といった、単なる「南向きだから高い」という一般論ではなく、“何が見えるか”という眺望資産こそが坪単価を決めるカギになっていることがわかりました。
調査を実施した同社は、「不動産の価値は築年数や立地条件だけでなく、湾岸特有の景観資産によっても大きく左右されます。今後、湾岸タワーマンションを購入・投資する際には、『窓からの景色』が将来の資産価値を左右する最重要ポイントの一つになるといえるでしょう」と述べています。