「気持ちの整理がやっとついたので投稿します」
そんな言葉とともにSNSに投稿された動画が、大きな反響を呼んでいる。
投稿者の家庭に起きたのは、洗濯機の給水ホースが突然外れ、大量の水が噴き出し続けた事故。帰宅したときには家の中が水浸しになり、「家財はほぼ全滅」。現在はキャンプ道具を使いながら日常生活をしのいでいるという。
SNSでは
「私も蛇口閉めてなかった…」
「今日から閉めます!」
「これ読んでゾッとした」
など、多くの“共感と驚き”の声が寄せられた。
今回、投稿者に話を聞いた。
外壁から“ジャカジャカ”水が…帰宅前から始まっていた最悪の状況
事故が起きたのは、投稿者が仕事中の夕方だった。
「近所の方から『家の外壁と基礎のつなぎ目から水がジャカジャカ垂れてる』と電話が来ました」
すぐに帰ることができず、2時間後の19時ごろ帰宅。しかし家の前に立った瞬間、覚悟が現実に変わった。
「外から見ても水漏れが分かりました。家の中がどうなっているのか…玄関を開けるのが怖かったです」
投稿者の胸に広がったのは、恐怖と生活が壊れる予感だった。
原因は“日差しで劣化したジョイント”
当初はホース破裂だと思われたが、原因は意外な場所にあった。
「よく見ると洗濯機とホースをつなぐジョイント部分が割れて外れていました」
洗濯機の奥には小窓があり、日差しが樹脂部分の劣化を早めていたという。
「外れたホースは蛇のように暴れ、水をまき散らしていました。棚や壁にぶつかり、その衝撃でホース自体も傷んでいたようです」
さらに…
「蛇口を開けっぱなしにしていたことで、水圧がかかり続けていたのも劣化の原因だと思います。閉めていれば防げた事故なので後悔しかありません」
いちばんつらかったのは、“生活が壊れること”
物損だけでなく、家族の生活が直撃された。投稿者は父子家庭。小学生の娘と暮らしている。
「夜ご飯はどうしよう、着替えは無事か、教科書は…娘の生活に支障が出ないように、とにかく必死でした」
水に濡れた家具や布団は重く、持ち上げることすら困難だった。
「床の排水が家具で妨げられ、深夜に業者を呼びました。徹夜で作業して、翌日は仕事。心身ともに限界でした」
そして…
「2週間以上、水損したゴミと一緒に生活しました。その間は娘と車で寝ていました」
修繕のための仮住まいも、娘の通学範囲に限られるため選択肢は少なく、工事は難航しているという。
投稿の目的は“自分と同じ目に遭ってほしくない”
投稿はネガティブな告発ではない。むしろ前向きな注意喚起として投稿された。
「洗濯機はどの家にもありますし、蛇口を開けっぱなしにしている人も多いと思います。だからこそ、誰かの役に立てばと思って投稿しました」
予想外だったのは、投稿の広がり方だ。
「友人が中心のアカウントだったので軽い気持ちでしたが、想像以上に真剣な反応が来て驚きました。みなさんが蛇口を閉めていると知って、自分の怠慢さを反省しました」
同時に、多くの知識と励ましが寄せられたことに感謝しているという。
投稿後の反応が“心の支え”に 専門性の高い助言も続々
「緊急止水弁、洗濯パン、火災保険など…専門的な情報をもらい勉強になりました」
「事故の詳細を共有して、逆に『参考になった』と言ってくださる方もいて救われました」
見えない相手からの言葉が、気持ちを楽にしてくれたとも話す。
同じ事故を防ぐために最も伝えたいこと
投稿者が強く訴えるのは、たった一つ。
「緊急止水弁があるからと安心しないでほしい」
緊急止水弁は、蛇口側のホースが外れたときには止水するが、今回のように洗濯機側が外れた場合は止水しない。
「必ず『使うたびに蛇口を閉める』。これが一番大事です。普段から緩みを点検し、取扱説明書を読むことも必要です」
SNSでは「今日から閉めます」の声が続々
投稿には、多数のコメントが寄せられた。
「私も蛇口を閉めてなかった。今日からやります」
「注意喚起ありがとうございます」
「うちも一度やられました…本当に他人事じゃない」
「同じ体験をした」という声も目立ち、家庭で起こりうる事故として広く共有された。
「誰かの役に立ってほしい」──投稿者の願い
最後に、投稿者はこう語った。
「今回の件で誰かを責めたいわけではありません。ただ、事故は本当に誰の家でも起こりえます。私の経験が、どこかのご家庭の“気をつけるきっかけ”になればうれしいです」
洗濯機の蛇口を閉める。たったそれだけのことで、大切な生活が守られるかもしれない。