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車の「レストア」とは?一般的な整備やメンテナンスとは違う…【費用や注意点を整備士が解説】

村田 創(norico by ガリバー) 村田 創(norico by ガリバー)

レストアした旧車を購入する場合の注意点

すでにレストアされた旧車を購入する場合、現車での確認は必須という前提条件のもと、どのような点に注意すれば失敗しないのか解説します。

▽レストア内容を確実に把握できている業者を選ぶ

レストアは非常に繊細な作業です。販売している旧車がどこまでどのようなレストアが施された車両なのか、全く把握できていないようなお店から購入することはおすすめしません。

そうなると実際にレストアをおこなった業者が直接、車両も販売しているところで購入するのが好ましいと言えます。

そうでなくとも、前オーナーからしっかりと情報を引き継いで、次のオーナーに責任を持ってレストア内容を伝えることができる業者を選びましょう。

▽パワートレインの状態をチェック

エンジン、トランスミッションは車にとっての心臓部分です。違和感なくアイドリングし、アクセルを踏んだときの吹け上がりも良好かチェックしましょう。

トランスミッションはMTであれば、問題なくギヤシフト操作ができるか可能な場合はチェックしておきたいです。ATの場合は、シフト操作時に過大な変速ショック等がないかチェックします。

▽油脂類の状態をチェック

車に使われている油脂類が極端に汚れていたり、錆が混じっていないかなどをチェックします。

冷却水に錆が混じっていると、冷却水経路内に錆が発生している可能性が高く、これらの錆は冷却水のシステム内で詰まりを起こし、その結果オーバーヒートや冷却水漏れの原因となります。

また、各オイル類の汚れ具合によって車のメンテナンス状況が見えてくるので、油脂類の状態をしっかり確認して、その車が適切なメンテナンスがされてきたかどうかを見極めることが大切です。

▽オイル・水漏れがないかチェック

油脂類の汚れ具合のチェックと合わせて、漏れがないかも要チェックです。車検に通らないような漏れであれば修理が必須です。

旧車だとすでに解説したように、修理するための部品がすでに廃盤であることも多く、代替品や流用品で対応したり、専門の業者に依頼して現物修理しなければいけないこともあります。

せっかく買った車が、修理のためにしばらく乗れない…なんて悲しいことにならないように、油脂類の漏れの状態は確実にチェックしておきましょう。

▽ボディや下廻りの錆の状態をチェック

車にとって錆は天敵です。錆が発生すると、そこから周囲を巻き込んだ腐食につながっていくので、ボディやシャシー・フレームの錆の状態をしっかりと確認しましょう。

旧車だと錆が進行してフロアに穴が空いてしまい、車内からその穴越しに道路が丸見え…なんてこともあります。錆による腐食が酷いと車検にも通りません。

▽サスペンション等の足廻りの状態をチェック

サスペンションの良し悪しは乗り心地に直結します。ボディやシャシー等の錆の確認と合わせて、サスペンションなどの足廻りの可動部分の錆の状態も見ておきましょう。

また、これら足廻り部品のガタの発生やブッシュのヘタリ具合、ショックアブソーバーからのオイル漏れが無いかも可能な範囲でチェックします。

▽灯火類の状態をチェック

灯火類に割れやヒビ割れがないかチェックします。輸入車などの場合、中には日本の法規制に適合しないものがついている恐れもあります。ただし、国産車であっても灯火装置の基準は現在の新車と当時の車とでは異なる点もあるので、その点は理解と注意が必要です。

▽エアコンの効きをチェック

エアコンを搭載している車であればエアコンの効きもチェックします。レストアするような旧車でオリジナルのエアコンシステムのままであれば、現在では製造が禁止されている「R12」ガスが使われているケースがほとんどで(1990年代中頃まで使われていた)、エアコンを修理する場合には現代の車よりも高額になってしまいます。

中には後々のメンテナンスや部品調達のしやすさを考慮し「HFC-134a」という現代の車で使われているシステムにレトロフィットさせてある旧車もあります。

▽異音や異臭の有無をチェック

可能な範囲で異音や異臭の有無をチェックします。異音や異臭が、ここまで解説してきたチェックすべき注意点の異変に気付くヒントになるかもしれません。

▽車内のカビの有無をチェック

旧車は何十年も使われてきた車です。なかには、しばらく乗られずに放置されていたような車両もあります。

そこで特に放置歴のあるような車は、車内にカビが発生していないかも念入りにチェックしましょう。場合によってはクリーニングの必要なケースもあります。

【補足】レストアとオーバーホールの違い

レストアと混同されやすい言葉として「オーバーホール」があります。レストアが機械部品のみならず、内外装や車のフレームといった車全体を対象として使われる言葉に対して、オーバーホールは主に機械部品に対して使う言葉です。

(例:エンジン、トランスミッション、エアコンコンプレッサー、オルタネーター、スターターなど)

オーバーホールは、普段では分解しないところまで綿密に部品の中身を点検したうえで、修理・清掃・給油・内部部品の交換等をおこないます。

車の修理をおこなうときに、新品同等の性能でありながら安価なリビルト品をおすすめされることがありますが、このリビルト品はオーバーホールを実施した部品です。

リビルト品とは?デメリットや試したいケースについて整備士が解説

レストア作業の中に、必要に応じてオーバーホール作業を行うことがあると理解していただければよいでしょう。

整備士のまとめ

レストアは一般的な整備工場ではおこなっておらず、非常に専門性の高い特殊な作業です。そのため、一般のカーオーナーにとってはあまり身近ではなく、お金も時間も必要な道楽のようなものです。

また、そのクオリティの良し悪しを見定めるのも難しいことが多く、だからこそ旧車のオーナー同士のつながりや口コミ、業者との密なコミュニケーションを通して、信頼のできるレストア業者と繋がることが重要です。

レストア済みの車両を購入するときも同様です。さまざまな苦労を伴いますが、レストアした旧車に乗れる格別感は言葉では言い尽くせません。

   ◇  ◇

◆整備士・ヒロ

国産ディーラー、輸入車ディーラーで勤務してきた2級自動車整備士。整備士経験は10年以上で、過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場したことも。 車の整備に関する情報をX(旧Twitter)で発信している。

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【監修】中古車のガリバーが運営・クルマのギモンにこたえるサイト「norico」編集長・村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!

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