今から4年前、小さな子猫だった「虎太郎」くんは、線路脇でたったひとり鳴いていました。命の危険にさらされていたところを救い出し、家族として迎えたのがXユーザー・梅虎さん(@uchan_kota)です。はかなげな子猫は、いまでは茶トラの豊かな被毛をたたえた成猫へと成長しました。
線路脇で救出された小さな命
2021年6月、駅に人だかりができていました。線路脇の生け垣から子猫の声がする、と地元の人たちが必死に探していたのです。
「2021年6月、仕事帰りに駅に行くと、地元の人が集まっていました。話を聞くと、線路脇の生け垣の中から子猫の声がしており、電車にひかれてしまう前に急いで救出しているところでした。心配になった私も一緒に子猫を探し、なんとか生け垣の中から救出。それが、当時、生後推定1カ月から2カ月ほどだった虎太郎です」
無事に救出できたものの、その場で引き取れる人はいませんでした。
「『このままではかわいそうだ』と思い、私が保護することにしました。虎太郎を段ボールに入れて電車に乗って帰ったのを覚えています。道中、虎太郎はまったく鳴かず、段ボールのなかで静かにしてくれていました」
盲目の先住猫と出会い、家族に
家に着いた虎太郎くんは、はじめての環境に大きな不安を見せました。
「家に着いて段ボールを開けると、虎太郎は勢いよく飛び出して『シャーシャー』と威嚇したり、猫パンチを繰り出したりと大暴れ。そのためケージに入れて様子を見ることにしました。数時間後、虎太郎はおもちゃで遊んだり、クッションでくつろぎ始めたりして、ようやく少し安心できた様子でした。急に環境が変わって怖かったのかもしれません」
苦労したのは被毛についた線路の油汚れでした。きれいに落とすまで大変だったといいます。そして気がかりだったのは、盲目の先住猫・小梅ちゃんとの関係です。
「我が家には、先住猫の小梅が暮らしています。小梅は盲目で、突然、聞こえて来た子猫の鳴き声に少し緊張した様子でしたが、ケージのそばでそっと耳を澄ませていました。心配だったのは、小梅と虎太郎が仲良く過ごせるかどうかということ。小梅にストレスがかかってしまわないだろうかと不安もありました」
ところがふたりを会わせると、小梅ちゃんは思いがけない行動を見せました。
「ふたりを会わせてみると小梅は虎太郎の毛づくろいを始めたんです。一方、虎太郎も小梅をお母さんのように慕って、飼い主よりも懐きました。私はそんなふたりの様子を見て、ほっと胸をなでおろしました。とても穏やかな小梅は、虎太郎という遊び相手ができてとても楽しそうです」
小さな子猫は4歳にーーとびきりの甘えん坊に
虎太郎くんは、小梅ちゃんや飼い主さんに見守られ、すくすくと成長しました。
「超ビビリで、飼い主と小梅以外にはまったく懐きません。お客さんが来るとすぐに隠れてしまい、その日はずっとびくびくしながら過ごしています」
臆病さとは対照的に、おしゃべりな一面もあるそうでーー
「とてもおしゃべりなところもあり、こちらを向いて話しかけるように鳴くことも。また、不満や要望があるとえんえんと鳴いてアピールします。例えば、おやつが欲しいときは、もらえるまで鳴き続けたり、お客さんが帰ると何やら文句を言うように鳴き続けたりします」
それでも一番の甘えん坊。小梅ちゃんや飼い主さんのそばを片時も離れません。
「毎晩、寝る前は小梅のそばに行き、毛づくろいをしてもらっているのですが、距離感が近すぎるのか小梅は少し迷惑そうにすることもあるほどです。虎太郎には『これからも小梅と仲良く、のびのびと猫生を楽しんでください!』と伝えたいです」