京都市右京区にある、火伏せ(防火・鎮火)の神の山として知られる「愛宕山(あたごやま)」。
空也上人が修行をしたと伝わる『鎌倉山 月輪寺(つきのわてら)』(@tukinowatera)は、愛宕山の中腹に位置し、登山を兼ねた参拝客も多いという。
そんな月輪寺が頭を悩ませているのが、高齢者やインバウンド客による「無謀な登山者の遭難」だ。
少なくともこの10年間で、行方不明者を含む数人が死亡しているという。
月輪寺の広報担当者に詳細を聞いた。
死亡事故も…「高齢者」と「訪日外国人」による無謀な登山
ーー「無謀な登山者」の遭難とはどういった状況なのですか?
「とくに深刻なのが、高齢の方の単独登山です。気づいた時はお声がけしますが、そういった方の中には、話が噛み合わないなど会話が困難で、認知症が疑われる方もおられます。馴染みの参拝者様からお聞きした話ですが、”昔から登山が好きで、老人ホームから抜け出してきた”とおっしゃる高齢の方と遭遇し、保護なさったそうです」
ーーなぜ事故や遭難に…?
「全国どこの山でも起きている問題だと思いますが、『途中で道がわからなくり、動けなくなる』『時間感覚がわからなくなり、夜になる』『途中で体力がなくなったり、過労で倒れる』『近道だと思い込みやルートから外れた登山道や獣道に入る』『下山する時間までが頭に入っていないため、昼過ぎからや夕方近くから登山を開始する』『軽装での入山』などです。
木々が生い茂る山は、都心よりも早く暗くなります。暗くなると下山を急ぐため、登山道から外れた道を近道だと思い込み、遭難事故や滑落事故や転倒事故が起きます。日没後の山は気温が急激に下がるため、体調不良で動けなくなる事故も起きます」
「日本語ワカラナイ」で警告を無視する外国人
ーー訪日外国人の弾丸登山による事故や遭難も増えているそうですね。
「訪日外国人の方の場合、入山・下山、見学施設の時間など、山の時間のルールを無視する方々が非常に多いです。また、外国人登山者のほとんどが、日本語が話せない・読めないため、こちらの警告を理解できず、ルールを守れません。
意思疎通のためにスマホの通訳アプリを使おうにも、山は圏外が多く使用ができません。2019年に単独で愛宕山に入り遭難した中国人観光客も、日本語が話せず、丸一日かけて右京署が捜索し、当方も夜通しお手伝いいたしました」