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「月8万のパートでは限界…」生活保護に抵抗があったシングルマザーが受給を決めた、息子の胸が締めつけられる一言

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智恵子さん(43歳)の現実 ~働いても赤字の家計簿~

「今月も赤字…」
 通帳を開いた智恵子さん(43歳・仮名)は、深いため息をつきました。

中学3年生の息子と小学6年生の娘。離婚して以来、スーパーのパート収入は月8万円。元夫から養育費3万円を約束されていましたが、支払いは途絶えがちで、結局ほとんど当てにできません。

智恵子さんは離婚後すぐに児童扶養手当を申請し、月額約4万3000円を受給しています。しかし、パート収入8万円と児童扶養手当を合わせても月12万3000円程度。家族3人が暮らすには十分とは言えませんでした。

「子どもたちには不自由させたくない」

そう思って自分の食事を抜き、服は古着で済ませてきました。でも冷蔵庫が空になることは珍しくなく、娘に「お腹がすいた」と言われたときには涙が止まりませんでした。

高校進学を控えた息子には、参考書代や模試代、そして制服や入学準備費用も必要になってきます。さらに光熱費も値上がりし、避けられない支出が重なってきました。貯金はゼロ、すぐに返せると思って始めたリボ払いの残高はあっという間に膨らみ20万円。智恵子さんは「もう限界」と感じていました。

「働いているのに生活保護?」という迷い

頭に浮かんだのは生活保護。しかし同時に迷いもありました。

「働いていたら申請できないんじゃないの?」
 「もし近所に知られたら恥ずかしい…」

実は、多くの人が同じことを感じています。しかしそれは誤解で、答えはこうです。生活保護は、働いていても受けられます。

生活保護の仕組み

生活保護は「最低限度の生活費」と「現実の収入」の差を補う制度です。
母子3人世帯の生活保護基準額は地域によって大きく異なります。例えば東京23区内なら月額約18~19万円、地方の町村部などでは月額約14~15万円となります。

智恵子さんの収入(パート8万円+児童扶養手当4万3000円=約12万3000円)では、どの地域でも生活保護基準を下回っています。その不足分が生活保護で補われるのです。

つまり「働いているから対象外」ではなく、「働いても足りない人」を支える制度なのです。

家計簿を見てみると

智恵子さんの家計簿を覗いてみると、このようになっています。

◇収入

パート収入:8万円
児童扶養手当:4万3000円

収入合計:12万3000円
◇支出
家賃:4万5000円
光熱費:1万2000円
食費:3万円
携帯代:8000円(3人分)
学費・部活費:1万5000円
雑費・日用品:8000円
交通費・医療費:7000円

支出合計:12万5000円
収入12万3000円に対し支出12万5000円で、毎月2000円の不足。借金に頼る暮らしが続いていました。

子どもたちのためにできること

智恵子さんが生活保護の受給を決めた大きな理由は、息子の「修学旅行」でした。

息子が「うちはお金がないから行かなくていいよ」と笑って修学旅行の案内プリントをくしゃくしゃと丸め、ごみ箱へ捨てて見せたとき、胸が締めつけられるようで、「あの子にまで我慢を背負わせたくない」と思ったのです。

生活保護を受ければ、医療費は原則無料、学用品や修学旅行費、給食費も補助があります。子どもの未来に必要なお金を安心して準備できる。それは親にとって何よりの支えです。

申請から受給までの流れ

1.福祉事務所に相談・申請

2.家計や資産、親族の状況を調査(1~2週間程度)

3.受給の可否を通知(原則14日以内、最長30日)

4.毎月、不足分が振り込まれる

必要であれば支援団体やNPOが申請に同行してくれます。一人で抱え込む必要はありません。

一歩を踏み出して

智恵子さんは勇気を出して市役所を訪ねました。「働いているけれど生活が成り立たない」と打ち明けると、職員は真剣に耳を傾けてくれました。

扶養照会等、各種手続きを経て、数週間後に生活保護の受給が決定しました。智恵子さんの住む地域の生活保護基準額は約16万円。パート収入8万円と児童扶養手当4万3000円を差し引いて、月額約3万7000円の生活保護費が支給されることになりました。

生活保護の受給が決まった翌月、学校から修学旅行の最終案内が配布されました。これまで月々の積立ができず、残り15万円を一括で求められていた修学旅行費。しかし生活保護の教育扶助により、この費用も支給対象となることがわかりました。

「修学旅行、行ってきなさい」
 そう伝えたとき、息子は泣き出しそうな笑顔で「ありがとう」と言いました。それは智恵子さんにとって、ようやく胸を張って母でいられる瞬間でした。

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