日本生命保険相互会社(大阪市中央区)は、このほど「保育士の働き方実態大規模調査」の結果を発表しました。同調査によると、現役保育士の2人に1人以上が「辞めたいと思ったことがある」と回答しました。「辞めたい」と思った理由にはどのようなことがあるのでしょうか。
調査は、20~59歳の保育士 1521人(現役保育士767人、元保育士543人、潜在保育士211人)および、一般社員 516人を対象として、2025年6月にインターネットで実施されました。
まず、現役保育士に「保育士の仕事をどのように捉えていますか」と尋ねたところ、「子どもの頃や学生の頃からこの仕事に就きたいと考えていた」(31.8%)、「誰かの役に立っていると実感できる」(30.4%)、「長く続けたいと思っている」(29.5%)といった回答が上位となりました。
これを一般社員比で見ても、「子どもの頃や学生の頃からこの仕事に就きたいと考えていた」(+29.5pt)、「誰かの役に立っていると実感できる」(+19.5pt)といった項目で大きな差が見られ、多くの現役保育士が幼い頃からの憧れを叶え、社会に貢献しているという実感や、自己成長を感じながら前向きに働いている様子がうかがえます。
また、保育士の仕事に就く前と後の比較を見ると、「自分自身の学びにつながる」(就業前17.1%、就業後26.9%)、「自分自身の成長を実感できる」(同14.5%、同20.7%)といった項目で大きく伸びていることがわかりました。
さらに、保育士について、「仕事とプライベートのバランスが取れている」は68.8%、「自分は職場で役に立っていると思う」は67.3%、「仕事を通じて成長や達成感を実感できている」は66.2%と、自らの成長や貢献を実感している人が多くみられました。
その一方で、現役保育士の51.5%が「辞めたいと思ったことがある」と回答。その理由として「給料が低い/業務内容に見合った報酬が得られない」(38.8%)や「人手不足で常に忙しい」(32.0%)、「求められることが重くて精神的な負担が大きい」(29.4%)などの声が多く寄せられました。
特に「求められることが重くて精神的な負担が大きい」(一般社員比+18.8pt)、「人手不足で常に忙しい」(同+18.4pt)、「業務量が多すぎて負担が大きい」(同+15.6pt)といった項目で一般社員との差が大きく、慢性的な人材不足が過重労働やストレスにつながり、保育士の離職意向を高めている様子がうかがえます。
また、「仕事の負担感」については、「からだを大変よく使う仕事である」(83.3%)、「肉体的な疲労感が蓄積しやすい」(81.4%)が突出して多くなり、一般社員比でも、「からだを大変よく使う仕事である」(+58.9pt)、「肉体的な疲労感が蓄積しやすい」(+46.3pt)の項目で大きな差が見られたほか、「かなり注意・集中を必要とする仕事である」(+29.2pt)、「物事の判断や決定する難しさ・責任の重さがある」(+28.5pt)といった精神面に関する項目でも、差が見られ、負担は肉体面だけにとどまらず、精神面にも及んでいることがうかがえました。
他方、「保育士を辞めたいと思ったことがない理由」としては、「職場の人間関係が良好で居心地が良いため」(20.4%)、「仕事とプライベートの時間を両立できているため」(19.5%)、「現在の仕事に強いやりがいを感じているため」「通勤や勤務地が便利で負担が少ないため」(いずれも15.9%)が上位となりました。
なお、元保育士と潜在保育士に「短時間勤務であれば保育士として働きたいですか」と尋ねたところ、「働きたいと思う」と答えた元保育士は42.9%、潜在保育士は46.0%という結果になりました。
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【出典】
▽日本生命保険相互会社